「お世話」というぶどうの育て方/酒井正太さん

総合評価: 4.035 件のレビュー)

「お世話」というぶどうの育て方

酒井正太さん

ぶどう農家の酒井さんは有機肥料を基本として、できるだけ化学肥料を使わない土壌作りをしています。「化学肥料を使うのは、人がたまに体調が悪いな〜と思って、ユンケルを飲むのと同じ」と、わかりやすい例え話で教えてくれます。天候には逆らえないし、毎日変化する環境のなか、手をかけ、目をかけ、心をかけるからこそできるお世話は「子育てと一緒」と酒井さんは言います。あれはダメ、これもダメ、何でもダメダメ、そんな風潮があるけれど、過敏すぎたらよくない、と。訪れた前の日が東京出張だった酒井さん、お子様たちへのお土産に、最近人気のハンバーガーを買って帰ったそうです。ジャンクフードもたまに食べるから美味しさが倍増。子どもたちはきっとのびのび育っているのだろうなと思います。

ぶどう畑は清々しい畑

ぶどうを育てるのに使う鋏

10ヶ所以上あちこちに点在している酒井さんのぶどう畑。その日はあいにくの天気でしたが、近くの畑にお邪魔して畑の中から空を見上げると、ぶどう棚に爽やかな薄いグリーンの天井が広がっていました。袋かけをしたぶどうが目の高さに適度な間隔を保ち、整然と並んでいます。それはもう芸術作品です。ピンセットのように尖ったぶどう専用の鋏を見ると、いかに繊細な作業なのかがよく解ります。

一見すると全部同じに見えるのですが、酒井さんには袋の外からでもひとつひとつの違いがわかるようで、「これが良さそう」と、袋を外して中を見せてくれました。その瞬間、ぶどうの甘い香りがふわっと広がり、濃紫色の張りのいいぶどうが現れました。よく見ると、まだ小さい緑色のぶどうの赤ちゃんもちらほら。赤系のぶどうも、はじめは緑色なんですね。どんよりした空模様でも、グリーンの天井の下はなんとも心地よく、清々しい場所でした。

袋の外からでもわかるぶどうの美味しさ

販売方法はお客さんとの「ぶどう」のような関係

ぶどうの販売方法

酒井さんは、お客さんに直接販売する機会を大切にしています。1,000人に1人、もしかすると2,000人に1人だけでも、対面で販売するからこそ伝わるモノがあると考えています。販売をしていると常連さんもやってきます。以前買ってくれたときに一緒に渡したぶどうのパンフレットを、お財布に大切に折り畳んで持って来てくださった方がいたのだそうです。その様子を話してくれる酒井さんは、本当に嬉しそうな笑顔でした。酒井さんとお客さんは、たわわに実ったぶどうの房のように繋がっています。