地場産の野菜を家族でずっと守り続ける/香川県・坂出市 大西 泰加さん

野菜生産と和牛の繁殖、相乗効果で好循環

大西さん夫妻は結婚した当時は働きに出ていて、ご両親が酪農と金時にんじん、金時いも、米の栽培をしていました。大西さん自身は子供が生まれてから仕事を辞め、育児に専念しました。その後ご主人から会社を辞めて農業をしたいと相談され、一緒に就農することを決めました。

大西泰加

専業にするなら毎月出荷できるようにと品目を増やし、収入の安定を図ることに。すでに栽培していた金時にんじん、金時いもと収穫時期が重ならないブロッコリーやアスパラガスの栽培を開始しました。また酪農をしていたご両親が、和牛の子牛生産に切替えました。和牛の生産は毎日朝夕の搾乳作業がなく、餌やりと体調管理が中心となるためご両親の負担が軽減され、さらに野菜と組み合わせることで別のメリットも生まれました。

大西泰加

「畑ではどうしても売り物にならない野菜が出てしまいます。うちの牛はその野菜を食べているんです。無駄なく良い循環だと思います」。大西家の和牛は小豆島に運ばれ、オリーブ牛などのブランド牛になることもあります。

地域との関わりを通して人とつながる

人を雇わず家族のみで経営している大西家ですが、大西さん自身は地域の方々とどう関わっているのか伺いました。「私、何年か前に入った女性部では一番年下なんですよ」。

大西泰加

大西さんが所属する農協の女性部は、年に2回ある地域の祭りに参加することが恒例で、夏はおはぎ、冬はうどんを作って販売しています。特に坂出市名物の「天狗うどん」は、地元の野菜がふんだんに使われておりお客様からの評判も上々。

他にもワークショップをしたり旅行に行ったりすることもあるそうです。「集まるのは農家ばかりなので、それぞれが栽培している物の生育状況などの話で盛り上がり情報交換もできます。何より仲間と交流できることは楽しいです」と話してくれました。

野菜生産と和牛の繁殖、相乗効果で好循環

大西泰加

金時にんじんは甘味ときれいな紅色が特徴で、料理の彩りにも好んで使われています。「シチューに入れても甘くて色がきれいなんですよ」と大西さんは嬉しそうに話します。

大西泰加

金時にんじんはお盆の時期から砂地の田んぼで作ります。坂出の特徴である砂地が金時にんじんの生育には必要です。水やりは夏の暑い時期には1日4回。葉には虫がつきやすいので細かく状況を把握しながら、野菜に合わせて丁寧に育てています。人手が必要な時期は息子さんと娘さんが手伝ってくれます。特に害虫を防除するときには、100mもあるホースを息子さんが引っ張ってくれるのでとても助かっています。収穫してからは1本ずつ刃物で葉と根を切り、規格ごとに選別し、洗浄、出荷という工程が続きます。「みんなで葉を切り、母が選別して、夫が洗って、翌朝出荷するというペースです。出荷までは全て手作業なので、収穫期は家族総出になります」とのこと。収穫が一段落したら、家族で外食に行くことを楽しみにしています。

大西泰加

「大変なこともありますが、いいものが出来たら嬉しいです。おすそ分けした人から美味しかったよって言われるとまた頑張ろうと思います。それに地場産のものがなくなったら寂しいので、これからも守っていきたいです」。大西さんは穏やかに微笑みながら、今後も地場の誇りを守り続けていきたいと話してくれました。

農家さんでも意外と知らない?たけのこのあく抜きに米ぬかを使うわけ

たけのこのあく抜きに米ぬかを使うのは何故?

「たけのこを掘りはじめたら、お湯をわかしておけ」と言われるほど、たけのこは掘ってからあまり時間を置かずにあく抜きすることが大事です。でもたけのこの下ごしらえに米ぬかを入れるのは何のためかご存知ですか?何となくあく抜きには米ぬかを使う・・というのを聞くので使っています。という方も多いのではないでしょうか?意外とたけのこを作っている農家さんの中でも意味を知らないという人が多いのです。

米ぬか

たけのこをあく抜きする時に、米ぬかを入れる理由は2つあります。

  • たけのこからえぐみを取り除きます
  • たけのこから旨味を引き出します

まずたけのこ特有のえぐみの正体は「シュウ酸」と呼ばれる成分が原因です。米ぬかに含まれるカルシウムがこのシュウ酸に作用し、えぐみを感じない成分となります。えぐみを抜くというより、えぐみを感じなくするという理解の方が正しいかもしれません。

次に米ぬかに含まれる脂肪分やアミノ酸がたけのこの繊維を柔らかくし、旨味を引き出す作用があります。
シュウ酸は水にさらすと流れ出るのですが、それと同時にたけのこの旨味成分まで流れ出てしまいます。そのため旨味を残しつつ、えぐみを感じないようにするために米ぬかを入れるのです。

米ぬかに含まれているでんぷん質が、たけのこのアクを吸い取ってくれたり、お米の甘みが加わることで、たけのこの旨みがますという効果も期待できます。(管理栄養士/大畑千弦さん)

米ぬかが無い場合のあく抜きは米のとぎ汁で代用

米ぬかの代わりに米のとぎ汁でゆでても下処理できます。
こういったあく抜きの原理も、今は科学的に分析出来ますが、こうして考えると先人の知恵というのは改めてすごいなと感じます。

米ぬかが必要無いたけのこもある

たけのこ

たけのこは収穫してから市場を通り、店舗に並ぶまでに日数がかかるので、その期間にアクが出てしまいます。収穫直後のたけのこにはえぐみはほとんどありません。特に小ぶりのたけのこにはえぐみがないので、米ぬかを入れずに茹でても大丈夫です。

採れたてのたけのこが手に入った場合は、焼きたけのこがおすすめ。たけのこを皮ごとアルミホイルでくるんで焼きます。また、あく抜きをしたたけのこも、焼いて焦げ目をつけると違った味わいが出て楽しめます。たけのこは鮮度が命。あく抜きも必要の無い程、採れたてのたけのこ味わってみたいです

にんじんの葉のおいしさ、知っていますか?

にんじんに旬はあるの!?

1年中手に入るにんじんに旬はあるのでしょうか?にんじんは千葉県や徳島県で多く生産され、5〜7月頃と9〜12月頃の2回旬を迎えます。夏場のにんじんは北海道産が多く出回り、またにんじんは貯蔵にも向いているため、1年を通していつでも食べられるというわけです。栄養面でも彩りとしても、日々の食卓に欠かせないにんじんですが、店頭に並ぶ時は葉っぱの付け根から切られています。にんじんの葉っぱがどんな姿か知らない方もいるのではないでしょうか?

葉つきにんじんを見つけたら

スーパーにも地場野菜のコーナーが増えてきた昨今、葉つきのにんじんを見かけることが多くなったように思います。買ってきたら、まずはにんじんと葉っぱを切り分けましょう。葉っぱが成長しようとにんじんから栄養分を奪ってしまうのを防ぎます。葉っぱがしっかり大きく育っているものは、葉先の柔らかい部分と茎を分けて料理しましょう。柔らかい部分はどんな料理にも使えます。ほろ苦さがあるので春菊やセロリのようなイメージで料理に活かします。生のままサラダに散らしたり、さっと湯掻いて和物にしたり、炒め物や鍋物にもおすすめです。硬い部分は10センチほどに切り分けて(たこ糸で束ておくと取り出すときに便利)から冷凍保存しておき、スープを煮るときなどに鍋にポンと放り込むと香味野菜として活躍します。

人参切り分け

にんじんと葉っぱの「ひとくちかき揚げ」

もっともおすすめの食べ方は「ひとくちかき揚げ」です。

<材料>

  • にんじん:小1本
  • 葉:ひとつかみ程度
  • 片栗粉:大さじ1〜2
  • 小麦粉:大さじ1〜2
  • 水:大さじ2〜3

ボウルに入れる

細切りにしたにんじんと、ざくぎりにした葉っぱをボウルに入れて、片栗粉と小麦粉を加えて全体にまぶします。硬めの衣が全体に絡む程度に水を少しずつ加えて菜箸で混ぜます。ひとくちサイズにまとめ、180度に熱した油でカリッとするまで揚げます。野菜ひとつで彩りも香りも良いかき揚げが出来上がるのは、葉つきにんじんならでは!ぜひお試しください。

かき揚げ

季節で、部分で味わい変わる!?キャベツのおいしさ

一年中、私たちの食卓を支えてくれるキャベツ

キャベツには春キャベツと冬キャベツがあることを知っていますか?千葉県我孫子市で農業を営む、ベジLIFE!!の香取岳彦さんにお話を伺いました。

野菜ボックス

巻きがゆるいのが春キャベツ(写真左)、キュッとしまったのが冬キャベツ(写真右)です。

キャベツ比較

春キャベツはふんわりしていて生でも甘味があり、冬キャベツは層になった歯応え、加熱したときの甘味も魅力です。それぞれ種を蒔く時期、獲れる産地が異なります。畑にまく種にも、春用・冬用そして、通年撒くことができる種もあるのだそう。日本各地でそれぞれの気候に適した種が撒かれ、収穫されるから、1年中おいしいキャベツが食べられるのです。

どうちがうの?春キャベツと冬キャベツの違い

いったい何枚重なってるの!?

葉っぱが何層にも重なってできているキャベツ。いったい何枚くらいあると思いますか!?差はあるものの、冬キャベツはおおよそ70枚!雨風や虫から守ってくれていた外側の多くは畑で落とされ、店頭に並ぶキャベツの葉は50〜60枚程度なんだとか。外側は緑色が濃くて、内側に向かって黄色っぽくなっていき、中心には小さな柔らかい葉。丸ごと買ったら、外側のしっかりした部分、内側の柔らかな部分、それぞれのおいしさを生かした調理でおいしくいただきたいですね。

農家さんちのおすすめキャベツ料理!おいしさのコツは量と部分!?

香取さんにお好きなキャベツの食べ方を伺いました。「お好み焼きですね。たくさん入れるのがポイント!生地の半分くらいキャベツを入れるとヘルシーで甘くて最高です!餃子にもキャベツをたっぷり使います。」

おこのみやき

お好み焼きも餃子もお子さんたちと一緒に作るそう。ふんわり仕上げたいお好み焼きには内側の葉がおすすめです。みじん切りにする餃子には外側の厚みのあるしっかりした葉を。フードプロセッサーを使うとみじん切りもあっという間です。

みじん切り

ほんのちょっと意識してメニューに適した部分使うと味や食感がよくなり、大きなキャベツも丸ごと無駄なく食べられます。定番メニューは季節によってそれぞれのキャベツの魅力や好みも食卓の話題になりますね。

餃子もっと詳しく知りたい方はこちら

今日から食べよう!ジャガイモの皮

じゃがいもは皮こそ栄養の宝庫

ジャガイモの皮

「野菜や果物の皮には栄養が多く含まれている」と言われるけれど、つい剥いてしまう皮。特にジャガイモの皮は毒や農薬が心配で剥いてしまうのではないでしょうか。
しかし皮を剥いて調理すると、皮付きで調理した時よりもビタミンCが減少してしまうそうです。また皮には中身よりも多く含まれている栄養素があります。その栄養素は鉄、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ビタミンB6およびビタミンCです。
これから夏になり、汗を沢山かくとカリウムも一緒に流出します。カリウムを補い、紫外線で受ける肌のダメージを補うビタミンCを補給するのに、ジャガイモはとても有効です。皮ごと食べて、賢く栄養を取りませんか?

農薬、食感は大丈夫?

気になるのは皮に含まれる残留農薬のリスク。無農薬や低農薬を選べば問題ないのですが、市場的にも価格的にもいつも無農薬を選ぶのは難しいかもしれません。
その場合は、
・たわしやスポンジで、こそぎ落とすようによく洗う。
・土は残さず丁寧に洗う(土や根に「土壌菌」が残っていることも多い)
汚れを綺麗に落とす事が大切です。

また毒があるといわれますが、これは芽や緑になった皮の部分に「ソラニン」と呼ばれる成分が原因です。食べると食中毒を起こす危険性があります。芽が出たもの、緑の物は収穫して日が経った物です。出てしまった芽と緑の皮は除去しましょう。なにより新鮮なものを選びましょう。

個人差もありますが、食感はどうでしょうか。
カレーやシチューなど煮込みものに入れた時はホクホク感の中にキシキシした食感が若干残ります。もし気になるようでしたら、皮は剥いて皮だけできんぴらになてみてはいかがでしょうか。にんじんや大根の皮も合わせればより栄養価も高く、ゴミを減らす事が出来ます。ポテトサラダはマヨネーズと合わせてしまうためあまり気になりません。彩りに関していえば、ジャガイモ以外の野菜(人参、黄瓜、玉ねぎ、コーンなど)を入れれば皮の茶色もあまり気にならないでしょう。揚げれば全く気になりません。むしろ皮の食感がアクセントになります。

新ジャガの丸ごとフライドポテト

じゃがいも

春先から初夏に書けて出回る新ジャガは皮が薄く皮ごと食べやすい、ジャガイモです。たとえば丸ごと揚げて、おやつやおつまみにいかがでしょうか。

新ジャガの丸ごとフライドポテトレシピ
・新ジャガの皮をよく洗う。
・水気をよく拭き取る。
・揚げ油を160度から180度にし、8分くらい揚げる。
・ジャガイモの大きさにより揚げ時間が変わりますので7分位したらくしを刺して、
・抵抗なくすっと通るまで揚げてください。
・油を切り、ぱらぱらと塩をふる。好みで胡椒も。

新じゃがまるごとフライ

ジャガイモで一番美味しい、皮と中身の間と食感までも美味しいくいただけます。「一物全体」という言葉があるように食材を丸ごと食べることは野菜の生命力全てを食べる事になります。皮ごと食べやすい旬の新ジャガから試してみてはいかがでしょうか。

(文・イラスト・写真 / ほし まさみ)

心も苺も真っ赤にするいちご農家さんの想い ~愛知県岡崎市のいちご農家「伊藤園」伊藤吉孝さん

苺を作るのに必要な1年間

今の季節、スーパーの顔ともいえる苺――そんな旬な苺を思う存分味わえる、いちご狩りの楽しみ方を前回「伊藤園」伊藤吉孝さんに教えていただきました。今回はいちご農家さんの想いを中心に伺ってみました。

苺って、つくるのに約1年間かかるって知っていましたか?
苺は3月に親苗を植えて、その後子どもの苗ができます。そして夏頃に、その子ども苗を増やします。そして秋に苗を植えて、冬に育て、収穫・出荷します。当たり前ですがどんな野菜・果物もできるまでに苗づくりがあるのです。野菜・果物をスーパーで買うときにそんなふうに感じて購入していますか?苺には1年間の愛情がこめられています。

美味しいいちごは午前中がおすすめ

いちご栽培は苗づくりが大切!

いちごはクリスマスケーキに使われるため、12月に出荷する必要があります。いちごの旬は1月から2月なので、早く皆さんにお届けするためには育てる際の工夫をするそうです。その工夫は夏の時期の苗に、“季節の勘違い”をおこすことです。どうするかと言うと、夏の夜間は冷庫に苗を入れて温度を調整します。そうすると、夏だけど冬が近づいていると思い、苗を植える秋には春が来たと感じて、早く実がつき出荷できるという流れです。

また、苗づくりでは病気にかからない強い苗をつくることが大切で、このことがその後の出荷量を大きくかえるそうです。このように実は、苺をつくる重要な作業としては苗づくりが7割、その後の栽培管理は3割程度だといいます。そのため、夏の時期の苗づくりがとても大切で、いちご農家さんは冬が忙しいと思われがちですが、実は夏に大きな仕事があるということを知ってもらいたいとのこと。

品種・栽培仕方で大きく違う

伊藤園さんへのインタビューで、苺の栽培には、高設栽培(地面より高い位置に棚を組み、苺を栽培する方法。収穫しやすくいちご狩りがしやすい)、土耕栽培(昔ながらの栽培で畑のように土に根をはり栽培する方法。いちご狩りはしにくい)があるとお伝えしましたが、この栽培方法の仕方でも育て方が大きく異なります。

いちご

高設栽培は高い位置でプランター等に培土を入れて人為的に栽培管理をすることが可能で、作業効率がとても良い栽培方法です。土耕栽培はおいしい苺ができやすいとされていますが、収穫時には腰をかがめて作業をするため、作業効率は良くないのです。

普段食べている苺はなんて名前?品種も様々あります

伊藤園さんでは静岡生まれの品種“紅ほっぺ”を主に栽培。木が強く、粒が多くて大きいので人気で、おいしく、味のバランスが良いといいます。いちご農家さんは栽培や品種を決め、いろいろな苦労をしながら、皆さんにおいしい苺を届けるべく丹精込めて育てられています。心も苺も真っ赤にしてくれる苺ができるにはたくさんの想いが込められています。

特に伊藤さんは、農業の受け皿の大きさに魅力を感じて農業をされています。それは、ただ自分で作ったものを加工して販売する以外に、レストランを開いたり、障害を持っている方と働ける環境をつくったりすることが出来ること。自分の頑張り次第で、衣食住のほとんどと農業は関わりを広げていけることに可能性を感じています。伊藤さんは地域活性も見つめ、農業の可能性も信じて、日々努力しています。応援していきたいですね。

愛知伊藤園さん

文: 松田悠/地域環境学習コーディネーター

キウイが固いとき、甘くするにはりんごを使う!

キウイとリンゴの不思議な関係

トロピカルフルーツのイメージが強いキウイですが、国内で作られるキウイの旬は冬から春、まさにこれから収穫時期をむかえます。キウイは木になっている状態では熟さないため、収穫したてのキウイはまだまだ実は固い&酸っぱくて美味しく食べることは出来ません。収穫後、時間をかけて追熟させ、ようやくスーパーの店頭に並びます。

キウイ

キウイには、ビタミンC・ビタミンE・葉酸・食物繊維・カリウムが豊富です。この時期、風邪予防のためにも積極的に摂りたいフルーツですね。また、たんぱく質を分解する消化酵素の作用で、消化を助ける効果も期待出来ます。

買ったばかりのキウイが固い時はりんご

収穫後、追熟させて流通させるキウイですが、店頭に並ぶものは食べ頃よりも少し前、まだちょっと固い…というものがほとんどです。中には数日おいてもなかなか柔らかくならず、食べ頃にはほど遠いものも。買ってから出来るだけ早く、美味しくキウイを食べたい!そんな時にぜひ用意して欲しいのが、リンゴです。でも、一体どうしてリンゴなのでしょうか?ここにはリンゴとキウイの不思議な関係があるようです。

キウイとりんご

まず、ビニール袋を用意し、その中にキウイ数個(4~5個くらい)とリンゴ1個を一緒に入れて、袋の口を閉じて、冷暗所に置いておきます。すると、キウイの追熟がぐんと早まるのです。どうしてリンゴとキウイを一緒に入れておくと、キウイの追熟が早まるのか?それは、リンゴから出る、ある物質による作用なのです。

キウイの追熟

追熟の秘密はリンゴのエチレンガス!

エチレンガスは野菜や果物など植物が自身で作り出す植物ホルモンの一種であり、名前の通り気体(ガス)です。エチレンガスは植物の一生に渡って様々な働きを担っており、例えば、発芽を促進したり、開花を抑制したり、果実を成熟させたりするのです。その中でも、リンゴは大量のエチレンガスを放出します。そのため、リンゴと一緒にまだ固いキウイを入れておけば、リンゴの出すエチレンガスの作用で、キウイの成熟が進み、早く熟するのです。

買ってきたキウイが固い…、固いキウイしか売ってない…そんな時もリンゴと一緒に保存すれば数日で美味しい食べ頃キウイになりますよ。とっても手軽なのに効果抜群!ぜひ、試してみてくださいね。

料理の名脇役!白髪ねぎの作り方

日本料理に欠かせない「葱」

日本料理に欠かせない「ネギ」。
日本書紀にも登場し、栽培の歴史が古いことから、全国各地に広がりそれぞれの気候にあった、その地方特有の品種に人気があります。関東では、千住ネギに代表される根深ネギ(白ネギ)が主流です

根深ネギは、成長とともに光を遮るように盛り土をし、白く柔らかくなるように丁寧に丁寧に栽培する、日本人の器用さを反映しているような野菜です。中の芯に独特のぬめりがあり、これは甘みと柔らかさの元になります。煮ると甘くトロリとした食感になるため、江戸では昔から葱鮪(ネギマ)鍋といって、ネギとマグロだけを甘じょっぱい割下でグツグツと煮て食べる料理が大人気でした。

料理に添えるだけで華やかに、白髪ねぎとは

そして近年のラーメンなどの中華料理ブームとともに人気を博してきたのが「白髪ねぎ」。白髪ねぎとは、白ネギの白い部分の千切りのことで、汁ものや煮ものなどの中央部に山高く盛りつけ、料理の飾りや薬味など名脇役として飲食店でよく見かけられます。とにかく白髪のように縦に細く切ることが大切です。

自分の料理に少し添えるだけで華やかに魅せてくれる「白髪ねぎ」。慣れないうちは少し太めな「白髪」になったりもしますが、経験を重ねるうちに、そして「美味しく食べたい!」と想いをこめたらきっと美しい「白髪」に仕上がることでしょう。自前ならではの少し太めな「白髪」になってしまっても、切り立てならではの香りが楽しめてそれも美味。では、作り方をご紹介します。

白髪ねぎの作り方/切り方

では、さっそく白髪ねぎを作ってみます。

白髪ねぎの作り方

▲ 根深ネギの青い部分は切り落とし、白い部分を長さを4cmくらいに切り、長さを揃えます。

白ネギに切れ目を入れる白ネギの中の部分をわける

▲ 縦に切り目を入れて中の芯を取り出します。

白ネギを細かく千切りにする

▲ 外側だけを重ね、端からごく細く切っていきます。

白髪ねぎを冷水でしめる

▲ たっぷり水を張ったボウルに10分くらいさらし、水気をきります。最後に水にさらすことで、シャキッと歯ごたえがよくなり、辛みも抜けてまろやかになります。
また、ネギがカールしてボリューム感が出ます。

白髪ねぎはちょっとしたひと手間で、違った印象の料理が完成します。ネギ味噌と椎茸を使ったレシピに添えてみました。

白髪ねぎで料理にアクセント

「つぼみ」まで味わえる!?ルッコラの新たなおいしさを発見

香りとピリッとした辛味が人気のルッコラ

いつの頃からか、バジルと並び定番のハーブとなったルッコラ。「ゴマのような香り」と表現される奥深い香りと、ピリッとした辛味が特徴的です。ルッコラはプランターでも育てることができるので家庭菜園でも人気です。ベビーリーフの中にも入っているように、小さくてもルッコラの風味があるので、若いうちに収穫して他の野菜に混ぜるだけでもサラダにアクセントをつけることができます。

農家さんの「ちょっとした!?」貴重なお話

兵庫県加古川市で水菜やルッコラを中心として生産されている株式会社LEADの都倉貴博さんを訪ねました。

都倉貴博さん

ハウスには順次収穫できるよう成長段階の異なる葉野菜が育ち、一面鮮やかな緑色が広がります。ハウスの中でぐんと成長して背の高い畝を見つけたので「こちらは?」と尋ねると「収穫を終えたルッコラです。つぼみがついているでしょう?実は、つぼみも食べられるんですよ。」と都倉さん。

ルッコラつぼみ

つまんでみると、甘みも香りも歯応えもあっておいしい!驚いている間に手のひらいっぱい摘んで持たせてくださいました。農家さんの「ちょっとした」お話は、消費者にとっての「貴重」なお話です。都倉さんは葉物生産の傍ら、自然体験教育型の市民農園「サイエンスふぁーむ」を運営されています。家族ごとに年間で借りる畑だから愛着が湧くのはもちろん、作物や虫など自然から学んだり、農家さんから貴重なお話が聞けたり、家族みんながうれしい市民農園です。

都倉貴博さん

和洋中で楽しめる「つぼみ」のおいしさ

ルッコラのつぼみは、クセがないので和洋中いろいろな食べ方が楽しめます。

ナムル

生で味わうだけでなく、さっと茹でてごま油、おろしにんにく、塩であえてナムルにしたり、オリーブ油でにんにく、ソーセージと一緒に炒めてパスタに仕上げても!

パスタ

煮えばなのお味噌汁にパッと加えると、緑色がきれいで食欲をそそるお碗のできあがりです。農家さんのちょっとしたお話から、ルッコラの新たなおいしさに出会えました。

たけのこが主役!「たけのこステーキ」

今だけのおいしさを堪能しよう

たけのこが店頭に並びはじめると春の到来を感じます。下茹での仕方がわからないから買ったことがないという方も多いかもしれませんが、実はそんなに難しい作業ではないのです。真空パックに入った水煮のたけのこは通年売られていますが、生のたけのこはまったく別のおいしさ。ぜひ、この時期だけの味わいを堪能しましょう。

たけのこのゆで方、基本をおさらい!

たけのこが茹で上がったら、さぁどうやっていただきましょう!?「たけのこご飯」や「若竹煮」など、出汁のきいた定番たけのこ料理が頭をよぎりますが・・実はもっともっと簡単なのが「たけのこステーキ」です。にんにく・バター・醤油の香りが食欲をそそる、たけのこが主役の一品です。

たけのこステーキの作り方

材料(分量は1例です。たけのこの大きさやお好みに合わせて加減してください)

  • ゆでたけのこ:中1本
  • オリーブ油:大さじ1
  • にんにく:1/2片
  • 塩:少々
  • バター:10g
  • しょうゆ:小さじ2
  • 木の芽:適宜

たけのこステーキ

1、ゆでたけのこは根元を1センチの輪切りにし、穂先は放射状に切る。

2、輪切りにした根元は、包丁で格子状に切り目を入れる。

たけのこステーキ

3、にんにくは皮をむき3ミリほどの薄切りにする。

4、フライパンにオリーブ油とにんにくを入れ中火にかけ、きつね色になったら取り出す。

たけのこステーキ

5、4のフライパンにゆでたけのこを並べて塩をふり、強めの中火で両面に焼き目をつける。

6、バター、しょうゆを加えて全体にからめ、器に盛りにんにくチップと木の芽を添える。

木の芽の香りも今だけのごちそう

たけのこステーキ

手に入れば、ぜひ「木の芽」を添えてみてください。木の芽とは山椒の木の若芽のことです。子どもの頃、母に頼まれると山椒のトゲにびくびくしながら木の芽を探して摘んだこと、木の芽を手のひらでパンと叩くのが楽しかったことを思い出します。叩いて香りを立たせてから料理に添えるのです。たけのこと木の芽の香りは食卓に春を運んでくれます。今だけのおいしさを味わってみませんか?(木の芽のほか、大葉の千切りやたっぷりの黒胡椒もおすすめです)