名脇役は栄養価も豊富
和食に香り添えをする野菜、三つ葉。水耕栽培が盛んになった現在では、一年中売られていますが旬は春です。天に向かって真っすぐ茎を伸ばし、1本の葉柄に葉が3枚ずつつくことから〝三つ葉〟と呼ばれます。和風ハーブとも呼ばれ、独特の香りに食欲がそそられます。脇役になりがちな三つ葉ですが、時には思いっきり味わってみてください。きっと食卓に春風が舞い込みますよ。
三つ葉は日本料理にかかせない野菜です。特に高級料亭や割烹に使われるものは、姿も香りも良く生産者の高い技術が光る高級食材です。このように名脇役でありますが、β-カロテン、鉄分、食物繊維、ビタミンC、カルシウムを含み栄養価も豊富です。疲れて元気のない時やお腹のはる時、貧血予防にも効果があります。
使い分けしてる?三つ葉は主に3種類
三つ葉は東南アジアの山野に自生するものを日本と中国が食用に品種改良しました。流通する三つ葉は主に三種類あります。風味が強く茎が太く歯ごたえがあり、根が付いたまま収穫するのが「根三つ葉」です。軟化栽培しているものが多く、茎の部分が白いのが特徴です。江戸時代から続く伝統野菜です。
スーパーなどで一般的に販売され、私たちがよく目にするのが「糸みつば」です。根三つ葉より葉がやや小さく、水耕栽培されるため根元にスポンジがついています。葉と茎が緑色なので「青みつば」と呼ぶこともあります。「切りみつば」は軟化栽培のため茎が細く白く、葉は薄い緑色をしています。アクが少なく柔らか。生で食べられるため、主にお吸い物や茶碗蒸しに青みとして添えられます。姿が良いのでお正月や料亭のお椀にかかせません。
春こそ食卓の主役に
三つ葉は薬味やサラダにそのままで使うことができます。より効果的に使うなら香りの強い葉と、シャキシャキとした食感の茎を使い分けするのがおすすめです。根を切って洗い、葉を摘み茎と分け、鮮やかな色と香りの高い葉は吸い物、茶碗蒸し、蒸し物に料理の彩りに使います。
茎は味と歯ごたえがよいので刻んで薬味に利用します。ご飯にまぜると熱で香りがいっそう引き立ちます。糸三つ葉や根三つ葉は茎が太いため、卵とじやさっと茹でて胡麻和えやおひたしに。ゆですぎは禁物です。色も歯触りも悪くなってしまうのでご用心ください。そのままでは香りが強すぎる…と感じる方は卵とじや天ぷらにすることで、ほんわりと香りを楽しむことができます。
三つ葉のたまごとじ作り方
それでは手軽に作れる三つ葉の卵とじをご紹介します。
材料
- 三つ葉:1/2束(約20g)
- 出汁:1/2カップ
- たまご:2こ
- みりん、醤油:各小さじ2
1.三つ葉を洗い、葉と茎に分ける。茎は3センチ程に切る。
2. たまごを割りほぐす。(ほぐしすぎない。黄みに一カ所穴をあけてぐるっとまぜるくらい)
3. 鍋、又は小さめのフライパンに出汁を入れ、中火にかける。
4. 湧いたらみりんとしょうゆを入れる。
5. 再び湧いたら、三つ葉の茎と葉を入れさっと煮る。
6.のたまごを加える。木べらで3回くらいまぜ、蓋をする。(まぜすぎない方が黄みと白みがそれぞれに固まり食感の違いを味わえます)
約1分後、たまごが6割くらい固まったらできあがり。
三つ葉のたまごとじに、しらすや油揚げ、豚肉、鶏肉、お麩を加えても美味しくアレンジが広がります。春が通り過ぎる前に、三つ葉を食卓のメインにいかがでしょうか?
(文・写真/ほし まさみ)