「はるみ」という名のみかん
はるみが食べたい!春が近づいて来ると、そんな声をよく聞きます。何と言っても、とにかくおいしいのです。「はるみ」という名前がついたのは、実は割と最近のことです。命名されるまでには長い年月が費やされました。先に記述致しました、不知火(一般的にはデコポンの名で知られている)と、同じ配合、ポンカンと清見タンゴールを掛け合わせてできた品種で、昭和54年に育成されました。それから7年の年月を経て結実し、最初は「興津44号」という名で供試されました。
その美味しさが認められ、平成8年、春をイメージするような味という意味で「はるみ」と命名、現在では知る人ぞ知る、春の人気柑橘の一つとなっています。
はるみの特徴、どんな柑橘?
不知火と同じ掛け合わせなのに、全く印象が違う…。不思議ですね。手で剥ける手軽さ。大きさは温州みかんより少し大きめですが、温州みかんのように、お弁当に一つ乗っけて行くのも良いでしょう。じょうのうは柔らかく、親である清見のオレンジ独特の爽やかな香りとポンカンの風味が見事なバランスです。みずみずしくプチプチとした食感も、人気の秘訣でしょう。贈り物にも最適ですね。主に愛媛、静岡、広島などで生産されています。
春の品種は、高価なものも多いですが、はるみは比較的入手しやすい価格というのも魅力の一つですね。まだまだ市場には出回っていませんが、手に入らない柑橘ではありません。ぜひ、一度食べてみて下さい。
酸っぱさのこと
春の柑橘は、「甘い!」という印象の柑橘が多いです。ところが、人間の舌は意外と酸味を隠してしまう傾向にあるようです。「濃厚な味!」と感じる柑橘、糖度も高いのでしょうけれど、実は酸味も頑張っているのです。はるみや不知火のように、オレンジ(こ場合は清見タンゴール)系の品種が入っている場合、実は結構酸味もあったりします。収穫したての柑橘は酸が強いですが、予措(よそ)をすることによって、いい具合に酸が抜け、酸味と甘味が絶妙なバランスで濃厚な味とを感じさせてくれます。春の柑橘、甘さの裏に隠された風味や香り、一つ一つじっくり味わいながら食べてみてはいかがでしょうか。