新たまねぎとたまねぎは違う?
春の訪れとともに店頭に並び始める新たまねぎ。普通の玉ねぎと味わいも触感も違うし、似た名前の別物だと思っていました。が、さにあらず。実は新たまねぎと普通の玉ねぎ、収穫後から店頭に並ぶ間の貯蔵が異なるだけで、元は同じたまねぎです。同じ種、同じ土壌からできた作物でもこんなに味わいが違うなんて、驚きですよね。
新玉ねぎは貯蔵期間に秘密あり
普通の玉ねぎは貯蔵期間を経て店頭に並ぶため、水分が減ってギュッと味が詰まった状態です。一方、新玉ねぎは収穫後に新鮮なまま流通するため、みずみずしい味わいを楽しむことができます。貯蔵期間を経ることで、表面の皮が茶色く変わり、おなじみの玉ねぎの姿に。
切ったものを比べてみると、新玉ねぎがみずみずしいのに対して、普通の玉ねぎが栄養が詰まってる感じがわかりますよね。(手前が新玉ねぎ、奥が普通の玉ねぎ。色がちょっと濃くなっていますね!)
生で食べ比べるとわかる「辛味」の違い
新玉ねぎと普通の玉ねぎ、スライスして食べ比べてみると、味の違いに驚きます。
普通の玉ねぎをスライスして食べると、さっぱりとほのかな甘みの後に、玉ねぎ独特の辛味が残ります。一方、新玉ねぎのスライスは甘味が強く、みずみずしく、後味も特に気になりません。
玉ねぎの辛味は「硫化アリル」という成分が原因。体に良いとされ、血液をサラサラにするといわれるこの栄養素は、加熱すると壊れてしまい、水に溶けやすいのでなかなか効率よく摂取するのが難しいのです。新玉ねぎにももちろん硫化アリルはたくさん含まれていますので、生食向きの新たまねぎは栄養を効率よく摂取するのにぴったりです。
同じように硫化アリルが含まれているのに、こんなにも辛味に違いがあることが不思議。普通の玉ねぎは貯蔵期間に栄養素が凝縮されることによって、硫化アリルの辛味が後味として強く残ってしまうのかもしれませんね。玉ねぎの辛味は、調理法や切り方を工夫することで栄養を損なわずに和らげることもできます。
新玉葱のサラダで春を満喫!