夏の元気食材モロヘイヤ ネバネバのもとってなんだろう?

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モロヘイヤのネバネバ成分とは?

「王様の野菜」という意味を持つモロヘイヤ。ビタミン、ミネラルなど栄養価が豊富です。何より特徴的なのはその粘りで、健康に良いと言われるネバネバ食材の一つですね。ところでこのネバネバのもとととなる成分は何かご存知でしょうか?それは他のネバネバ食材と同じなのでしょうか?夏の元気食材モロヘイヤのネバネバの正体をお伝えします!

モロヘイヤのネバネバ

ネバネバ〜とろとろ〜このような言葉に表される粘りの成分は主に糖とタンパク質が結合してできた多糖類(糖質の最小単位である単糖が多数結合したもの)の一種「ムチン」とよばれる栄養成分です。ムチンは身体に良いと期待される2つの効果があります。

ひとつは胃粘膜を保護し、夏場の食欲不振や胃もたれの予防する効果です。2つめはタンパク質の吸収をサポートすることです。タンパク質は筋肉や皮膚、臓器など身体の組織を作る役目や体を動かすエネルギー源であり、生きる上で大切な栄養素です。ムチンはこのタンパク質の分解を促進する酵素を含むため、タンパク質の消化を促進させ疲労回復へと導いてくれます。

ムチンを効率よくとりましょう!

旬の野菜はその時期の身体に必要な栄養が豊富にありますね。モロヘイヤは夏バテを防ぐ栄養が含まれているのです。粘り=ムチンは刻むことや、火を通すことで一層引き出されます。しかしムチンは熱に弱いため加熱のしすぎには注意しましょう。また、ムチンは水溶性の成分なので加熱調理すると食材の外へ流れ出てしまいます。ですからスープにして食べるなど、ムチンの溶け出した汁ごと食べるように調理し効率良く摂取することをおすすめします。

粘りのある食感は口当たりが良くついツルツルっと飲み込むように食べてしまいがちですが、刻むことでネバネバ感が増すので、よく咀嚼して食べましょう。胃の負担も軽くなり消化吸収が高まります。先に述べたようにムチンはタンパク質分解酵素が豊富なので、肉や魚と食べ合わせることで栄養吸収の相乗効果にもつながります。ムチン×タンパク質で夏バテした身体にスタミナをつけましょう!一度にたくさん食べることは難しいので、週に2〜3回、量より食べる頻度をなるべく多くして健康効果を得ていきたいですね。

ムチン

他にもあるネバネバ食材。粘りの正体はモロヘイヤと同じなの?

モロヘイヤ以外にもネバネバの食材は色々あります。これらは一般的に「スタミナがつく」や「お腹にいい」というイメージがありますが、その成分はモロヘイヤと同じなのでしょうか?モロヘイヤのように刻むと粘りやぬめりが出るものや、なめこのように透明なぬめりに覆われているもの、納豆のようにまぜると糸を引くものなど食材によって粘りやぬめりの様子は様々です。この状態にみられるように、粘りのもとが同じとは限らないようです。

ネバネバ食材

ツルムラサキ、オクラ、山芋、なめこの粘りのもとにはムチンやペクチンという血中コレステロール値や血糖値を下げる働きのある成分が含まれます。なめこなど、きのこは菌類に属し、そのぬめりの中は食物繊維と菌糸体が含まれています。納豆は大豆に納豆菌が加わったことでタンパク質を分解し、糸を引く粘りが生まれます。これはグルタミン酸とフラクタンからできます。グルタミン酸は旨味成分で、フラクタンは糖の一種です。これらは小腸で吸収されず大腸に運ばれ発酵し、善玉菌を増加させる働きがあります。

ワカメ、モズク、メカブなど海藻は海の中で波当たりや外敵から身を守るため身体がぬめりで覆われています。この粘性の物質はフコイダン、アルギン酸です。フコイダンは免疫力の向上、アルギン酸はデトックス効果があります。また海藻特有の水溶性食物繊維も含まれています。このようにネバネバのもとは食材ごとに種類がちがい、それぞれ健康に役立ちます。夏バテで食欲がないときも、またそうでないときも、ネバネバ系食材を日々食事に取り入れて元気に過ごしましょう!

ネバネバ丼イラスト

(文・写真・イラスト / ほしまさみ)

モロヘイヤのゆで方、基礎のキソ