どっちがどっち?かぼすとすだちの違い

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大は「かぼす」大分・小は「すだち」徳島

晩夏から初冬にかけて出回るかぼすとすだち。焼き魚や鍋物などに添える名脇役です。どちらでも代用がきくのですが、味も香りも違うので個性を生かした使い分けを知ると、用途に合わせ購入ができます。それでは違いをおさらいしてみましょう。並べてみるとまるで親子のようですね。

かぼすとすだち違い

どっちがどっちだと紛らわしいようですが、大きい方がかぼすですだちの2倍程あります。かぼすは直径5㎝程の大きさがあり、重さは100g〜150g。皮の色が薄い緑色で表面がつるりとしています。カットすると中の果肉は薄いオレンジ色がかった黄色です。

かぼすとすだち

すだちは直径4㎝程あり、ゴルフボールくらいの大きさです。重さは40g〜50g。皮の厚みはかぼすより薄く、表面は濃い緑色でややごつごつした印象です。果肉は薄い黄色をしています。かぼすは全国の生産量9割を大分県産が占め、すだちは9割を徳島県産が占める特産物です。

切り口

▲上段かぼす、下段すだち

香りと味の違い

かぼすとすだちは比べると香り・味も違います。かぼすはすだちより香りが控えめ。爽やかな酸味ですだちに比べるとほのかな甘みがあり、上品な印象です。たんぱくな味の白身魚など食材の風味を損なわずに使えます。果汁がたっぷりとれるため酢の物やジュースにも向いています。すだちはライムのように香りが高く、酸味や香りが熱に負けにくいので皮の部分をお吸い物に入れれたり、薬味にしたり、さんまなど香りの強い食材と相性が良いです。

栄養成分はともにビタミンCやビタミンE、クエン酸が豊富です。かぼすの可食部100gあたりビタミンCは42mg、クエン酸は6g、すだちはビタミンCは40mg、クエン酸は4.5gです。大人が一日に必要なビタミンCの量は100mgです。ビタミンCは風邪の予防や疲労回復、肌荒れなどに効果があり、クエン酸は食欲増進、疲労回復効果がありますので、日頃から積極的に取りたいですね。

イラスト

切り方と絞り方のコツ

香りのもとは皮に含まれる「リモネン」と呼ばれる成分です。この柑橘の豊かなエッセンスを含み果汁を活用する切り方・絞り方にはコツがあります。


  • かぼすはすだちより皮が固いので、切る前に軽く転がします。皮が柔らかくなり、香り成分がしみ出しやすくなります。
  • かぼす・すだちともに、ヘタを横にして半分に切ります。(縦切りにすると果汁が十分に絞れません)
包丁
  • かぼすは大きいのでさらに2等分してもよいでしょう。
  • 種を取り除きます。
  • 切り口を上に向けて、切り口を合わせるようにギュッと絞ります。
かぼすしぼる

▲かぼす

すだちしぼる

▲すだち

このようにすると果汁が皮を伝い、香りの成分を包みこむので香り高く抽出できます。これからシーズン本番です。似てるようですが奥深いかぼすとすだちの違い。まずは焼き魚に両方を添えてみてはいかがでしょうか。ふたつの和の香りを比べ、自分好みを見つけるのも楽しいですね。

(文・写真・イラスト:ほしまさみ)