「匹」「杯」「尾」「枚」どれが正しいの?
日本には様々なものの数え方がありますね。カニの数え方にもいくつかあることをご存知ですか?多くの人がカニは「一杯、二杯…」とこたえるでしょう。でも小さな子どもは「カニは一匹でしょ?」と答えるかもしれません。さてどちらが正しい数え方なのでしょうか。「杯」「匹」…その数え方の違いは一体どのように違うのでしょうか?
海、競りや鮮魚店、通販サイト、旅行先の宿の宿泊プランのなかで、カニの数え方を目や耳にしますね。「匹」「杯」の他にも「尾」「枚」と使い分けされています。わかりにくい数え方の違いですがひとつづつ違うのでご説明します!
「匹」で数えるときは〝生きているもの〟です。海辺や河原、水族館ににいるカニは「匹」と数えます。競りや市場、鮮魚店で購入するカニの数え方…つまり〝食用商品になったもの〟は「杯」「尾」と数えます。鮮魚店などでポピュラーに使われているのが「杯」、市場や漁業関係者の間では「尾」を使います。
また「松葉ガニ」の産地、鳥取県の市場、漁業関係者の間では「枚」と数えています。どれが正しいというわけでなくどれも正しい数え方です。通販サイトでは混在しているようですし、商品になったものであっても活きのよさ、新鮮さをアピールする場合には「匹」を使うこともあります。新聞の表記も各新聞社によって違い「一匹」と「一杯」の両方が使われています。
「杯」「枚」という数え方の由来
物の数え方には必ず意味があるそうです。その意味には、歴史や文化が関わり生まれています。ではなぜカニの数え方が「杯」という器の数え方と同じなのでしょう?
「杯」は胴の部分が丸く、中に水などを注ぎ込めるような〝かめ型〟の容器を表します。カニも甲羅の部分が丸い容器に見えるので「杯」が使われるようになったそうです。イカもイカ徳利があるようにその形状から「杯」の数え方がされるようになり、アワビも同様の理由です。
また江戸時代から、漁師たちはカニを丸い桶(まぐさ桶という、たらいくらいの大きさのもの)で取引し、その桶を一杯、二杯…と数えていた名残という説もあります。昔はカニは大量に捕れたので桶にたくさん入れて売られていたのです。「枚」という数え方は、薄くて平たいカニの甲羅の形状からいわれるようになりました。
まだある!「肩」「本」という数え方
カニの通販サイトでは数え方として「肩」「脚」や「グラムなどの重量」の表示を目にします。ズワイガニやタラバガニのような大型のカニは食べやすいように甲羅から外し切り分けて、肩や脚だけに加工します。甲羅やエラを外して胴体を半分にしたものを「一肩(ひとかた)」といいます。(つまり二肩で一杯分です)胴体から外された脚や爪先を「本」と数えます。このように加工方法による数え方もあります。いずれにしても数え方は主に購入の時に必要な情報です。
- 例えば
- タラバガニ 一杯の値段=タラバガニ姿800g 4,980円
- 生ズワイガニ 3Lサイズ 1kg 5400円
- 生ズワイガニ 4Lサイズ 7肩 2.5kg 10800円
脚肉、肩肉、爪が含まれていている商品もあり、その数を表示していないものもあります。…このように100gあたりの価格表記や大きさと重量から価格を表します。数え方の違いを知って、食べる人数と控えめ?それともガッツリ…?量を選んで購入しましょう!
文・写真/ほしまさみ