さくらんぼ、どうして「さくら」んぼ?

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初夏のおいしい味覚、さくらんぼ。

季節の変わり目でぐったりしているところに、あまずっぱい味がごちそうですよね。紅くてつやつやしたさくらんぼが山積みになっていると、ついつい口に運びたくなります。そんなさくらんぼ、なぜ「さくら」んぼという名前かご存知ですか?

実は、春に咲く桜と初夏のおいしい味覚さくらんぼは、生物分類上同じ「バラ科モモ亜科スモモ属(サクラ属)」です。つまり、生き物としては同じ分類にあたります。

春に鮮やかに街を彩るさくらと、初夏においしいこのさくらんぼが生き物としては同じというのは驚きですよね。しかし、きれいな桜が咲いた後においしいさくらんぼが実る…… というわけではありません。

「さくら」と「さくらんぼ」の違い

さくらとさくらんぼは、生き物としては同じでも品種が異なります。きれいとおいしい、両方を1本の木で楽しめるほど都合よくはないのですね。

ソメイヨシノ

きれいな観賞用のさくらにも実はなります。お花見で楽しむ代表的なのはソメイヨシノ(染井吉野)という品種で、桜の開花予想といえばこのさくらです。

さくらが散った後、地面に赤い実が落ちているのを見かけたことはありませんか?これは「ミザクラ」といって、ソメイヨシノという“花を観賞するために作られた種”の実です。そのため、いつも果物として親しんでいるさくらんぼと似ていますが、食用ではありません。

さくらんぼの名称の由来

さくらんぼは、その「ミザクラ」部分をおいしく食べられるように改良された品種の果実です。

さくらんぼ

歴史的には観賞用の桜よりも古く、有史以前から食べられていたそう。地域的にも、ヨーロッパ、エジプト、アメリカ、中国など世界中で食べられていたようです。古代ローマでも愛されていたさくらんぼ。今でも私たちが楽しんでいるなんて、ちょっとロマンチックですね。

ちなみにこの「さくらんぼ」、生産農家さんは「桜桃」と呼ぶことが多いそうです。店頭に並ぶ際に、皆さんに親しみのある「さくらんぼ」と札をつけるそう。たしかに、桜桃よりもさくらんぼのほうがおいしそう…?

さくらんぼの名称はその昔「桜の坊」と呼ばれていたところから、口にされるうちに「の」が「ん」に変化したという説が有力です。何気なく食べているさくらんぼ、歴史や名前の由来を知るといつもよりたのしめるかもしれませんね。

さくらんぼ界の重鎮「佐藤錦」