苦い野菜からおいしい野菜に・野菜の王様「ケール」
日本では、青汁の原料として知られている「ケール」ですが、その栄養価の高さから「野菜の王様」とも呼ばれ、健康や美容への意識が高い女性を中心にスーパーフードとして注目されています。一昔前までは「苦い」というイメージが強い野菜でしたが、最近は苦みが少ない調理向きのケールが出まわるようになったこともあって、「苦い野菜」から「おいしい野菜」へと少しずつイメージが変わってきているようです。スーパーフードとして世界からも注目されるケールの優れた栄養とは?今回は、ケールに含まれている栄養と効能についてお伝えしたいと思います。
ケールの種類は様々!ケールに含まれる栄養素とその働き
他の野菜と比べて栄養価が高くてヘルシーな食材だといわれているケールは、緑黄色野菜の中でも最も栄養バランスが優れているといわれています。主に、体を元気にしてくれる効果とアンチエイジングなどの美容にうれしい成分がたっぷり詰まっています。
ビタミン類
強い抗酸化作用を持つビタミンA・C・Eを多く含み、3つの栄養素をまとめて「ビタミンACE(エース)」と呼ばれています。風邪予防や肌ケアに効果的だといわれるビタミンCの含有量は、トマトの5倍以上。カルシウムを骨に沈着させる作用があるビタミンKも多く含んでいます。
カルシウム
カルシウムには、脳神経の興奮を抑える働きや、骨や歯を形成する働きがあります。ケールは、野菜の中でもカルシウムを多く含む一方、シュウ酸をほとんど含んでいません。さらにケールは溶解性が高いカルシウムが多く、吸収率は牛乳の約1.27倍!
カリウム
カリウムはケールにも多く含まれている成分で、人に必要なミネラルの一種。体内にたまった余分な塩分の排出を促してくれるため、むくみに効果的です。
ルティン
ケールには、ほうれん草の約2倍のルティンが含まれています。ルティンは、緑黄色野菜などに含まれるカロチノイド系のファイトケミカルの一種で、目の粘膜を保護したり、さまざまな目の病気を保護する効能があります。
食物繊維
食物繊維の含有量は、レタスの約3倍。水溶性食物繊維だけでなく、ケールは不溶性食物繊維も多く含み、腸内環境を整えてお腹をすっきりさせてくれます。
葉酸
葉酸は、赤血球の細胞を形成を助けたり、胎児の正常な発育のための大切な働きをする成分です。葉酸を摂ることでたんぱく質の新陳代謝がよくなり、肌や髪が元気になるといわれています。
ケールの1日の摂取量や効率的な食べ方
美容効果を期待するならサラダやスムージ―でケール独特の苦味成分の元は「スルフォラファン」というもので、デトックスや抗酸化作用に優れている成分です。生成にはスルフォラファンミロシナーゼという酵素が必要ですが、熱に弱いビタミン類や酵素系は、加熱すると栄養素が崩れてしまいます。葉酸も水溶性ビタミンの一種で、茹でると水に流れ出てしまったり、生の状態に比べて葉酸量も減ってしまうため、美容に効果的な栄養素をしっかり摂りたい方には、サラダやスムージ―などで摂るのをおすすめします。
ケールは加熱に強い野菜!青臭さや苦みが気になるなら炒め物や煮込み料理で先ほどお伝えしたように、ビタミン・酵素系は熱に弱いのでどうしても生の状態よりも減ってしまいますが、食物繊維やミネラルなどは熱に強く、ケールの栄養素は加熱しても壊れにくいものがほとんどです。また、加熱することでボリュームが減って食べやすくなり、加熱することでケールの青臭さや苦みが軽減できるメリットがあります。固い軸の部分も煮込み料理でならおいしく食べることができます。
ケールは青汁として飲むだけでなく、料理にも取り入れたい栄養がたくさん含まれています。まだまだ日本では馴染みが少ない野菜ですが、海外ではスーパーフードと呼ばれる優秀野菜。自分に合った種類と調理法で、日々の健康管理にケールを活用してみてくださいね。
ケールの保存方法文・野菜ソムリエ・ナチュラルフードコーディネーター 桜井さちえ