汁物にふわっと香る「へぎ柚子」
木枯らし一番が吹くころ、黄色く色づいた柚子が収穫の時期を迎えます。夏に獲れる爽やかな青柚子と比べ、熟した柚子は果汁も多く、味も香りも彩りも無駄なく味わい尽くせます。料理の腕が上がったかも!?そんな気にさせてくれる柚子の使い方を3種ご紹介します。
寒くなるとうれしい汁物に柚子の皮を添えれば、湯気とともに柚子の香りが立ち上ります。表面を薄く削り取ることを「へぐ」といい、汁物に香りを添える「吸い口」の柚子は「へぎ柚子」と呼ばれます。たくさん手に入った時には、へぎ柚子にして少量ずつラップに包み、保存袋に入れて冷凍保存すると、季節ならではの香りを長く楽しめます。
「振り柚子」で煮物に彩りと味わいをプラス
根菜が美味しくなるのもこの時期です。里芋の煮っころがし、風呂吹き大根など、仕上げに柚子の皮を散らせば、素朴な煮物がキリッと美しくなり、一段と味わい深く感じます。まるで黄色い星屑マジック。ゆずの皮をすりおろして、茶せんでふりかけることを「振り柚子」といいます。茶せんがない場合は竹串を束ねて代用できます。ゆずの皮の白い部分は苦味があるので、表面だけをそっとすりおろすのがポイントです。
華やかな盛り付けには「柚子釜」
年末年始、家族や仲間と囲む食卓でも柚子が活躍します。おせち料理では、なますや黒豆、いくらなどお重に詰めにくい料理を「柚子釜」に盛り付けることで、お重が一層華やぎます。手の込んだ印象がありますが、実は簡単!まずは柚子を平らな場所に置き、不安定な場合は底の皮を包丁で切って座りをよくします。
おせちの季節、紅白なますの作り方次に、大きさと形を見ながら高さを決めて横に包丁を入れます。小さなスプーンで果肉を取り出せばできあがり。みかんのように薄皮ごと取れるので思い切ってくり抜いても大丈夫です。果肉はガーゼに包んで果汁を絞り、なますの調味などに使います。また、ゆずの果汁で作る「ポン酢醤油」もおすすめです。みんなで囲む鍋料理もさらに美味しく!ゆずの香りを添えて冬の食卓を楽しみましょう。