毎日の料理にかかせないきのこ。多くの種類が人工栽培されているため通年手に入りますが、本来の旬は秋から冬にかけてです。ビタミンB群、食物繊維、ビタミンD(乾物)が豊富に含まれているため健康づくりに役立ち、種類によって香りや旨味、食感が違います。それぞれの持ち味をチェックして料理に活かしてみませんか?
くらべてみよう「香り・旨味・食感」
きのこは独特の香りや食感があり、また出汁がとれるほど旨味を持つものもあります。例えば香りの高いものは「しいたけ(特に原木)」「まいたけ」、食感が良いものは「まいたけ」「エリンギ」「えのきだけ」、出汁をとるなら「干ししいたけ」…このようにそれぞれに得意分野があります。それでは身近な5種類はどんな特徴があるのでしょうか?
しいたけ
身近なきのこの代表。硫黄を連想させる独特の香りがあります。クセが強いため、料理の味を左右しますが肉厚で食べ応えあり、メインにもなり得るきのこです。天日などで乾燥させた「干ししいたけ」は、香りや旨味がさらに濃厚になっています。
ぶなしめじ
香りにクセがなく豊かな旨味と柔らかな食感。一般的に流通している「しめじ」は「ぶなしめじ」で「香りまつたけ 味しめじ」と言われるのは「本しめじ」のことです。多少の苦みが気になる人には改良品種の「ブナピー」がおすすめです。
えのきだけ
触るとぬめっとしていて光沢感があり、酸を感じる香り、シャキシャキとした食感。旨味もあり加熱すると、とろみが出ます。「ブラウンえのき」は白いえのきだけよりも歯ごたえがよく風味があります。
まいたけ
コリコリとした歯切れの良い食感、独特の風味、旨味、そして、手を広げたような独特の見た目。名前の由来が「見つけた人が喜んで舞い踊った」から「舞茸(まいたけ)」になったとか。最近は「白まいたけ」も出回り、こちらは煮汁が黒くなりません。
エリンギ
洋風のきのこです。香りが少なくクセがないので子どにも食べやすい。スライスするとアワビにも似た食感と強い歯ざわりが特長的。きのこは傘を食べるものが多いですが、太い軸の部分を食べます。旨味は少ないため、出汁には向きません。
違いを料理に活かそう
このような特徴を活かして料理に使い分けしてみてください。きっときのこが底力を発揮してくれますよ。
●単体でも主役級 しいたけ・まいたけ
香りよく深い味、肉厚で食べ応えのある「しいたけ」はフライや天ぷら、そのまま焼くだけでもお皿の上で目に留まる存在感があります。同じく美味しさを兼ね揃えた「まいたけ」は天ぷらに。味もボリューム感もあるので料理の主役級です。
●料理に馴染みやすい ぶなしめじ
株から分けやすく、きのこらしい形、火も通りやすいです。クセの無い味と柔らかさはどんな料理にも合い、和え物、ホイル焼きに入れると他の食材が引き立ちます。
●とろみを活かして えのきだけ
加熱によって出る、とろみを活かし汁物や鍋に入れるととても美味しい。和え物や炒め物にすると他の食材をまとめてくれます。
●歯ごたえが他の食材のアクセントに エリンギ
クセが無いので他の食材の合わせやすく、太い軸をさいたり、スライスし、食感を活かすと料理のアクセントになります。洋風の料理の付け合せにも向いています。
合わせることで旨味がアップ
きのこは種類が違うと旨味成分も異なります。そこで何種類かのきのこを合わせて使うとより旨味や香りが豊かになります。
例えば旨味の強い3種類「しいたけ」「しめじ」「まいたけ」を合わせて使ってみましょう。出汁をとる、炊き込み御飯にする、ソテーにする、ホイル焼きにする…奥行きのある味わいになります。
また旨味ある2種類に食感のある「えのき」や「エリンギ」を加えるとひと味違う美味しさになっておすすめです。きのこ類は冷凍すると旨味が増します。2〜3種類を組み合わせたMIXきのこを冷凍保存しておくと便利ですよ。脇役になりがちなきのこですが、旬の時期こそ、きのこからレシピを考えてみてはいかがでしょうか?
(文・写真/ほしまさみ)