URAfarmは野菜にも人にも愛情をたっぷりと/香川・観音寺市 浦聡子さん

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気が付いたら農業に夢中 この土地のために私達が頑張らないと

きらきらとした笑顔で畑を案内してくれたのは、香川県観音寺市で農業を営む浦聡子さん。ご主人の達生さんと一緒に、レタス、アスパラガス、ネギなど、様々な野菜を育てています。

浦さんご夫婦は、就農して今年で6年目。若い世代として香川県の農業を盛り上げる2人は、実は、元々美術を専攻していたという変わった経歴の持ち主です。

観音寺市浦聡子さん夫妻

「私も主人も首都圏出身で、東京の美術大学に通っていました。将来について考えている時期に、観音寺市の農園のアルバイト募集を見つけて、何となく2人で応募してみたんですね。何となくで始めたはずなのに、いつの間にか農業の方が楽しくなっちゃいました」

アルバイト後も同じ農園で修行を積み、そこの親方の指導の下、2018年7月には農業法人『URAfarm』の設立を果たします。

地域の人達との出会い、そして農業への熱意と好奇心が、お2人をここまで突き動かしてきましたが、加えて原動力になったのは、観音寺市への「地域愛」でした。「この土地にやって来たのは、本当たまたまだったんですけど、愛着が湧いたんですね。若い世代が農業やらないと、この土地が衰退しちゃいますから。私達が頑張らないと」すっかり、観音寺市を担う一員となった聡子さん。力強い言葉からは、農家としての自覚と責任感が伝わってきます。


可愛くて仕方がない野菜達 自然と向き合って心に訪れた変化


URAfarmアスパラ香川アスパラ

「私が育てたアスパラ見てください!」野菜を紹介してくれる聡子さんは、まるで、子どもが宝物を見せてくれるかのよう。嬉々とした表情と、野菜へ向けられる愛情いっぱいのまなざしが、とても印象的です。「私、自分でも気が付かないうちに野菜と会話してるみたいです。家に帰ったら、野菜に『ただいま、帰ってきたよ』って声をかけちゃうんですよね。自分で育てた野菜の可愛さは、やっぱり違います」

聡子さんは、「野菜は、手をかけた分だけ素直に反応してくれる」と言います。日々、野菜が変化する様子を見ては、喜びを感じるのだそうです。とはいえ、天候に大きく左右される農業において、予想外の結果は付き物。どれだけ手をかけても、その努力が水泡に帰すことだってあります。そんな、気まぐれな自然を相手にしていく中で、聡子さんにも大きな心境の変化がありました。

観音寺市就農

「農業を始めて、『世の中にはどうしようもできないことがあるんだな』って、潔さが身に付きました。人生って、潔く諦めて、前を向いた方が良いことだってあるじゃないですか。やるだけやったら、『神のみぞ知る』って感じですね。前よりも、物事を大らかに受け入れられるようになりました」

昔の人達は、畏敬と親しみの念を込めて、太陽のことを「お天道様」と呼びました。聡子さんの話を聞いていると、そう呼んだ人達の想いが何となく分かるような気がします。


家族じゃないからこそ、家族以上にお互いを大切に


URAfarmでは現在、パートタイマーや短期アルバイトを含め、合計10名の従業員が働いています。年齢や国籍、URAfarmへやって来た経緯はそれぞれ異なりますが、精神的にも、技術的にも支え合う、心強い仲間達です。

「うちの従業員は、本当にみんな優しいんです」と聡子さんが話すとおり、困ったことがあれば、自分の担当業務を超えて助け合う空気があるのだとか。取材中も、従業員同士、仲の良さそうな様子が垣間見えました。

観音寺市URAfarm

言うなれば、従業員全員が、農業を通して密な時間を共有しているわけですが、聡子さんは、だからこそ互いが尊重し合える仲でなければならないと言います。

「私達は、毎日一緒にいますけど、決して家族ではありません。でも家族じゃないから、家族以上にお互いを大切にしないといけないんです」

手をかけた分だけ反応してくれる―。もしかすると、それは野菜も人も同じなのかもしれません。ここでは、野菜と人の両方が、たっぷりの愛情の中、すくすく成長していました。

URAfarm