「お茶言葉」の深~いお話<前篇>

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知っていますか?お茶にまつわる言葉たち

日本の古くからの飲み物である、お茶。お茶(抹茶)がまだ貴重品だった平安時代には、とても庶民が口にできるものではありませんでした。宮中に献上されたり、位の高い僧侶たちが楽しんでいたと言われています。それから900年ほど後、江戸時代に入って煎茶の生産がはじまり、やっと一般の人々もお茶を味わえるようになったのです。そして現在、お茶はペットボトルや粉末、ティーバッグなど、いろいろな形になって私たちの生活を潤してくれています。

新茶

さて、そんなお茶にまつわる言葉、みなさんも一度はどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか。「朝茶はその日の難逃れ」「目茶苦茶」「鬼も十八、番茶も出花」などなど、なんとなく意味はわかるけれども ‥その由来はどこからきているのでしょうか。

朝茶はその日の難逃れ

朝のりんごは金、と同じくらい有名なのがこちら。朝に水分を取ることはもちろん大切ですが、お茶に含まれるカフェインで頭がすっきり、カテキンが菌をよせつけず、豊富なビタミン/ミネラル類が体の調子を整えるという三拍子揃った効果を表しています。また、昔はお茶を入れるのに時間がかかったことから、朝にお茶を味わう時間的余裕を持つことで一日が見渡せるようになるとの意味や、急ぐからとお茶の誘いを断った者が不幸に見舞われるエピソードなど、時間的な含みもあるようです。

宵越しの茶は飲むな

おなじみのこのフレーズ、科学的根拠をしっかり持っています。お茶がらを一晩おいておくと、茶葉に豊富に含まれるたんぱく質が腐敗してしまうから、というのが理由。乾燥している分には安全なたんぱく質も、お湯を通って水分を含んでしまうと途端に腐りやすくなってしまいます。また、抗菌作用でおなじみのタンニンも、時間がたって増えすぎると胃腸に刺激を与え、ひどい場合には嘔吐や下痢を引き起こします。食中毒が原因で命を落とすことが多かった昔の人々にとって、身近なお茶の危険性はことわざにして語り継いでおくべきことだったのかもしれません。後篇につづく