冬瓜って栄養あるの?

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冬瓜に栄養がないといわれる理由

煮物や汁物など、冷やしても温めてもおいしくいただける冬瓜は季節を問わず楽しめる野菜です。カロリー(エネルギー量)が低くヘルシーな食材としても知られています。ウリ科の野菜は、水分量が多いために栄養がほとんどないと思われがち。冬瓜も果肉のほとんどが水分でできているのもあって他の野菜に比べると栄養の密度が低いのは確かです。お世辞にも栄養豊富な野菜とはいえませんが、だからといって全く栄養がないわけではありません。栄養価に関してはあまり注目されにくい野菜ですが、冬瓜には体に良い栄養素がちゃんと含まれていますよ。

冬瓜断面

冬瓜のカロリーと栄養素

冬瓜のカロリーは、生の可食部100gあたり15kcalと低カロリーの野菜。そのため、ダイエット中の方には是非食べていただきたい食材のひとつ。その他も、炭水化物3.8g、食物繊維1.3g、脂質2.3gと少なめです。小ぶりの冬瓜なら丸ごと食べても250~300kcal程度しかないので凄く低カロリーであることが分かると思います。その他、以下の栄養素が冬瓜に含まれています。

カリウム

栄養成分で比較的多いのはカリウム。カリウムは人の体に必要なミネラルの一種で、余分な塩分を排出して血圧を正常に保つほか、腎臓での老廃物の排泄を促す作用もあるため浮腫みの予防・解消にも効果的です。体を冷やす働きがあるため夏の火照った体も冷ましてくれます。そのほか、細胞内の浸透圧やphバランスを調整したり、神経や筋肉の働きにも関わっています。

ビタミンC

冬瓜は免疫力を上げたり、肌の調子を整えてくれるビタミンCも多く含んでいます。ビタミンCは肌を健やかに保つためのコラーゲン生成に欠かせないビタミンとしても知られていて、ストレスを緩和する効果もあります。ビタミンCがもつ抗酸化作用は、老化の原因となる過酸化脂質の生成を抑えてくれます。

食物繊維

冬瓜には、水に溶ける水溶性食物繊維と溶けない不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。どちらかというと不溶性食物繊維の方を多く含み、腸の働きを刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にするため便秘解消に効果的です。腸内環境を整えてくれるので、健康だけでなくダイエットや美容にも効果が期待できます。

サポニン

冬瓜にはサポニンという成分が含まれています。サポニンは抗酸化作用や免疫向上に効果的な成分で、マメ科の植物などコーヒーや抹茶などのお茶全般に多く含まれている苦み成分。脂肪や糖の吸収を抑えてくれる働きがあり中性脂肪を分解してコレステロールを下げる効果があります。

冬瓜角切り

冬瓜の薬膳的効能

冬瓜は体の熱を冷まして余分な水分を排泄する効果があり、ほてりや浮腫みに効果的な野菜。捨ててしまいがちな皮と種ですが、じつは漢方でも利用されるほど薬効の高い部分なんです。実際に漢方薬として使う場合は他の漢方薬と組み合わせて使うことが多く、単体で使用することはほとんどありませんが、普段捨ててしまう部位なだけに注目したいところです。

冬瓜皮(とうがんひ)

冬瓜の皮は、中薬名で冬瓜皮といい、じつは実よりも強い利尿作用や解毒作用があるため、腎臓病や糖尿病の予防に用いられるなど生薬として使われてきました。水分代謝が悪くなると体内に不要な老廃物などが蓄積されていってしまうため水太りや肌のトラブルにつながってしまいますが、冬瓜皮は水分代謝をサポートする効能があります。

冬瓜子(とうがし)

乾燥した種に便秘解消や利尿、鎮喉作用があるといわれています。また、インドの伝承医学アーユルヴェーダでは「気を降ろす作用がある」といわれ、咳止めや解熱に用いられています。肌を白くなめらかにする効果があり、中国古代では種を美容クリームの原料として使われています。

冬瓜の皮や種は、しっかり火を通せばやわらかくなり食べやすくなります。乾燥させたものをお茶にしたり、皮は細く切ってきんぴらに。ワタや種は一口サイズに切って味噌汁の具としても使えます。ただ、お伝えした通り冬瓜は体を冷やしてしまう効果があるので、寒い時期に食べる時は生姜や唐辛子など体を温める食材も一緒に摂ることをおすすめします。

かき揚げ

文・野菜ソムリエ・ナチュラルフードコーディネーター 桜井さちえ