冬瓜は冬野菜なの夏野菜なの?

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冬瓜ってどんな野菜?

冬瓜は、きゅうりやズッキーニなどと同じウリ科のツル性1年草。一般にウリ科植物の実を指して「ウリ」と呼んでいますが、実は600種類以上もあるといわれています。冬瓜はその中の一種で、原産地はインド・東南アジアなどの熱帯地域。日本へは平安時代に中国を経由して伝わったといわれています。当時の文献「本草和名」に加毛宇利(カウモリ)との記載もあり古くから親しまれていました。果肉はやわらかく淡白な味わいで、煮物や汁物などで食べます。

冬瓜1

冬瓜の主な産地は沖縄県、愛知県、岡山県などがあり、日照りが良く暖かい地域で多く栽培されています。品種としては早生トウガン、小トウガン、長トウガン、在来種、琉球種、台湾種、中国長トウガンなどがありますが、形は品種によって円形から長円筒形などさまざまです。愛知県に古くからある「早生とうがん」は、あいちの伝統野菜にも認定されている冬瓜で、皮が厚く貯蔵性に優れていますが完熟すると表面に白い粉をふくことから敬遠され流通量が少なくなってしまいました。現在、主流となっている品種は皮が青い琉球種。白い粉をふかない品種で1.5〜1.8kgほどの小ぶりですが、食べ切りサイズで使いやすいため人気があります。


冬瓜の旬は「夏」

冬瓜は別名「トウガ」「カウモリ」とも呼ばれ、もともと「冬瓜」と音読みした「トウガ」が転じて「とうがん」と呼ばれるようになったといわれています。石川県や富山県では「カモリ」、沖縄県では「シブイ」などとも呼ばれているようです。冬瓜の旬は夏から秋。7〜9月に収穫される夏野菜ですが、漢字では「冬の瓜」と書きます。なぜ「夏瓜」や「秋瓜」ではなく「冬瓜」なのか疑問に思いますよね。じつは名前の由来は、冬瓜が保存性に優れていることにあります。

冬瓜2

冬瓜の皮は固くてキメが細かく水分を失いにくくなっています。そのため夏に収穫しても切らずに冷暗所で保存しておけば冬までもつことからそう呼ばれるようになったといわれています。また、熟すると皮の表面にブルームという白いろう物質の粉が付きますがそれが雪のように見えるから、という説も。丸ごとのままなら長期保存が可能な冬瓜は、冷蔵庫がない時代ではとても重宝されていたようです。栄養面では、胃液の分泌を促し体を冷やす効果があることから夏バテ防止に良いとされ、日本では夏至や冬至に冬瓜を食べる風習があります。

冬瓜の花の百ひとつ

冬瓜の花を見たことはありますか?冬瓜は初夏から夏にかぼちゃの花に似た黄色い5弁の花を咲かせます。この花のことをことわざにした「冬瓜の花の百一つ」という言葉がありますが、たくさん存在するその中で本当に価値のあるものや役に立つものは少ない、はずれることが多くて当たるのが稀、数ばかり多くて役に立つものはない、などの意味を持っています。冬瓜はひとつのツルにたくさんの花をつける特性をもっていますが、その花から実を結ぶのはほんの一部だけなんです。無駄花やアダ花など実を結ばないものがほとんどで、実際に実のなる花は100個にひとつの割合しかありません。ウリ科の雌雄同株の野菜の花はもともと雄花の方が雌花の数倍以上も多く咲き、虫が少ないと受粉がしづらいという特徴があります。

冬瓜3

さらには冬瓜の雌花はきまぐれに突如現れるので受粉のタイミングを逃してしまうと結局結実できずに終わってしまうことも・・・。「親の意見と茄子の花は、千に一つの無駄もない」といわれる茄子とは正反対に、咲く花のほとんどが無駄に終わってしまうという冬瓜の花ですが、1つの実を結ぶために一生懸命たくさんの雄花たちが花を咲かせていると思うと何だか応援したくなりますね。

文・野菜ソムリエ・ナチュラルフードコーディネーター 桜井さちえ