枝豆の栄養

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枝豆と大豆の違い

枝豆は、夏の盛りにおいしくなる野菜。茹でたてはついつい手がとまらないおいしさですよね。鮮やかな緑が印象的な枝豆ですが、大豆の若さやを未熟なうちに収穫したものだと知っている人は案外少ないのではないでしょうか。枝豆は大豆に比べてやわらかくてみずみずしいのが特徴ですが、収穫せずにそのままにすると粒がだんだん白くなり、やがて大豆になります。

枝豆

大豆は東アジア原産で、中国では紀元前2000年から栽培されているとても古い作物です。日本には縄文時代に中国から朝鮮半島を経由して伝わったといわれ、「古事記」や「日本書記」などで名前が見られることから古くから食べられていたことが分かります。枝豆として利用されるようになったのは17世紀末頃から。次第に大豆用と枝豆用の品種が分かれるようになり、今では200種類にも及ぶ枝豆専用品種があるといわれています。主な産地は、東北、北海道、関東。山形や新潟には粒が茶色で香りと甘味が強い「だだちゃ豆」や「茶豆」などがあります。また、お正月の煮豆に使われる黒豆を枝豆に利用されることもあり、独特のコクと旨味、ホックリとした食感が特徴です。

枝豆に含まれる栄養と効能

「ビールに枝豆」とよく言われますが、枝豆とビールは栄養学的にも相性抜群な関係性です。おいしいだけでなく身体にも良い組み合わせですが、そもそも枝豆にはどんな栄養素が含まれているのでしょうか?ここでは、枝豆の栄養成分と効能について解説します。

たんぱく質

「畑の肉」と言われるほどたんぱく質豊富な大豆ですが、大豆と同様、枝豆にも良質なたんぱく質が多く含まれています。生の枝豆(可食部)の場合100gあたり11.5g、茹でた場合は11.7g、冷凍した場合は13gです。

ビタミン類

大豆にはないビタミンCを多く含み、含有量はトマトの2倍。体の中でたんぱく質や脂質の酸化を防いだり、日焼けによるシミを防ぐ効果があります。また、ビタミンB群の一種である葉酸は体の成長促進、貧血の予防などに効果があります。

食物繊維

ダイエットに欠かせない食物繊維。生の枝豆(可食部)に含まれる食物繊維は100gあたり5g含んでいます。1日の目標摂取量の約1/4を補うことができ、水溶性と不溶性の両方をバランス良く含んでいます。

カルシウム

ミネラルの一種であるカルシウムは、骨や歯をつくる成分として大切なもの。牛乳100gあたりのカルシウムが110㎎のなか、生の枝豆(可食部)には90㎎とカルシウムがとても豊富です。

冷凍枝豆

枝豆がビールのおつまみに最適なわけ

ビールのおつまみによく登場する枝豆ですが、じつは枝豆とビールは栄養学的にも相性は抜群で体にとっても申し分のない組み合わせ。アミノ酸の一種メチオニンという成分がアルコールの分解を促し、肝臓への負担を軽減することからお酒に効果的だといわれています。メチオニンは、マグロや鶏肉などにも多く含まれていて野菜の中でも枝豆には100gあたり160㎎含まれています。また、ビタミンB1はアルコールの代謝を促進させ、肝臓の働きを高めてくれるコリンや浮腫みをとるカリウムなど、ビールに枝豆を食べ合わせるのは理にかなっていると言えます。

一方で、ビールとの相性が良くもあり悪くもあるのがチーズ。枝豆とチーズとの相性は、認知症予防や貧血予防に効果的だといわれますが、枝豆に含まれるフィチン酸がチーズのカルシウムと結合して吸収を抑制してしまいます。そのためカルシウムを無駄なく摂りたいなら枝豆にチーズは合わせない方がベターです。

枝豆には、大豆に含まれていない栄養素も豊富に含まれています。ほんのり甘い豆の風味がおいしい枝豆ですが、食べ過ぎると糖質や塩分の摂りすぎになってしまう可能性があるのでくれぐれも食べ過ぎには気をつけましょう。

枝豆

文・野菜ソムリエ・ナチュラルフードコーディネーター 桜井さちえ