甘酒の基本、麹菌?麹(こうじ)?とは
日本の食文化に欠かせない微生物「麹菌」をご存知ですか?麹菌をお米や小麦などで培養したものを「麹」と言います。甘酒は、蒸したお米に少量の麹菌をまぶして、温度管理をしながらコウジカビを生やしてできる米麹から作られる飲み物です。できた米麹を「生麹」、そこから水分を乾燥させたものを「乾燥麹」と呼びます。
日本の食文化に欠かせないと書きましたが、米麹は甘酒のみならず、みりん、米味噌、日本酒、酢の発酵にも使われます。また豆麹、麦麹は醤油や焼酎になり、これらを作るのに麹菌は欠かせません。
麹で作った甘酒に含まれる栄養
甘酒と言われるものには、米麹で作ったものと、酒粕を溶いて甘味を足したものとがあります。最近では甘酒が自販機に並んでいたり、スーパー・コンビニ等でもよく見かけるようになりましたが、もし購入の際はラベルを確認してみてください。飲み比べると味も違い、どちらの甘酒にもいい効果があります。
甘酒には2つの種類がある!麹から作られる甘酒。ここでは米麹で作った甘酒の栄養をご説明します。まず甘酒の甘さの基となる栄養はブドウ糖。ブドウ糖は、麹菌の発酵によって出来る甘酒の成分の2割を占めます。とても甘くて糖度が約40度ほどになると言われています(甘い柿で18度程です)。ですので、飲む時には、お湯や冷水、豆乳、牛乳等足して好きな甘さに調整します。
病院の点滴と同じ成分!?麹甘酒のスゴい効能ブドウ糖は、すぐエネルギーになりやすいので、運動の前、体力を消耗する発熱時、夏バテの時の栄養補給に優れています。なかなか思うように栄養が摂れなかった昔の人たちには、甘酒が夏バテ対策に重宝されていたようで、「甘酒」には夏の季語とされる所以です。冬場の暖かい甘酒も美味しいですが、冷やしてレモンを絞った甘酒もとても美味しく、食欲のないときの食事の変わりになるようなパワフルな栄養があります。
麹菌の働きで生成される栄養には、ブドウ糖の他、ビタミンB群やミネラル、アミノ酸等があげられ、甘酒にはこれらの栄養素が含まれています。これが、飲む点滴と言われる所以です。
甘酒は体にやさしく栄養をとれる!
私は、甘酒は出来立てが特に美味しいように思います。炊いたお米と麹から甘酒に完成するころには、麹菌がお米を分解してどろどろのおかゆ状になっています。これは、コウジカビが生成するアミラーゼという酵素がお米のでんぷん質を分解するためです。アミラーゼは唾液にも含まれる消化酵素ですので、お米をよく噛んでんぷん質を口のなかで分解せずとも、甘酒はすでに体内で吸収されやすい形になっているということです。
人と共存している目には見えない微生物の数はとても多くて、例えば人間ひとりと共存している微生物は、人を形作る細胞の数より多いそうです。わたしたちは、自分の細胞より多い微生物とともに一生を過ごします。そう思いながら、微生物がつくってくれた美味しく栄養満点の甘酒を楽しむのも、おもしろいと思いませんか。