渋抜き法~「湯抜き」編
お風呂の残り湯に渋柿を浮かべておくという、昔ながらの家庭的な渋抜き方法です。渋柿が窒息状態になることで、柿の中にアルコールが発生する仕組みを利用します。アルコールが酸化して「アセトアルデヒド」が発生し、柿タンニンと結合することで不溶性になり、渋みを感じなくなるのです。残り湯の温度がアセトアルデヒドの発生を促進するという利点に昔のひとの知恵を感じます。手順は簡単。ポリ袋に柿を入れ、空気を抜いて口を縛り、お風呂の残り湯に浮かべます。一般的にはひと晩で甘くなるといわれますが、やはり柿の種類や熟れ具合によって異なります。ここでは湯舟をイメージして土鍋で試したところ、ひと晩で渋が抜けました。
渋抜き法~「ドライアイス脱渋」編
炭酸ガスを充満させて柿を窒息状態にさせ、柿の中にアルコールを発生させるという仕組みです。湯抜き法と同様、アルコールから発生したアセトアルデヒドが柿タンニンと結合し、不溶性になることで渋みを感じなくなるのです。ドライアイスが手に入りにくいため一般家庭には不向きですが、農家さんは渋柿の出荷にドライアイスを活用されています。箱詰めした渋柿の上に新聞で包んだドライアイスをのせて出荷すると、輸送中に3~4日程度で渋が抜けるというわけです。「到着後ひとつ食べて渋みが残っている場合はもう一日置いてください」という案内文とともに届きます。
渋が抜け切っていなかったときは?
渋抜き完了の目安がないため、仕上がりの判断がむずかしい渋抜きですが、自然の恵みに手を掛けるおもしろさでもあります。味見をして渋みが残っていた場合、他の渋柿はもうしばらく渋抜きを続けます。最終的には味見をして見極めるので、渋柿は少し多めに用意すると良いでしょう。また、渋抜きをした柿は柔らかくなりやすいので早めにいただきます。切ってしまった味見用の柿は、食べやすく切ってザルに広げてドライフルーツにするのがおすすめです。少し乾いてきたら張り付かないようにオーブンシートに移します。半生でもしっかり乾かしても、お好みの食感で。やさしい柿の甘みを楽しめます。
渋柿の簡単な渋抜き法~アルコール編