「花御所柿」をご存知ですか?
鳥取県八頭町の風土が生んだ花御所柿。その若き生産者、岡崎昭都さんにお話を伺いました。花御所柿は今から200年ほど前、奈良県の「御所柿」の枝を鳥取県郡家町の「花」という地域で接木したことから「花御所柿」と名付けられ、11月中旬〜12月あたりに収穫期を迎えます。手のひらいっぱいほど大きく、糖度は18度!甘みも最高峰の花御所柿は暮れの贈答用として需要が高く、感謝の気持ちとともにあちこちへ贈られています。
花御所柿は生理現象でヘタと実の間に穴があいてしまうものが多く、優れた柿は収穫量のわずか30%程度というから驚きです。生産性の悪さから花御所柿の生産をやめる方も多く、今ではますます希少価値の高いものとなっています。
柿作りは100歳の師匠と100年の古木
花御所柿の生産者である祖父母、兼業で支える両親の元で生まれ育った岡崎さん。若い頃は農家を継ぐことなど全く考えておらずスケートボードに夢中でした。しかし時が経ち高齢になった祖父母を思い、ある時「やってやろう!」と柿農家を継ぐ決意ができたそうです。「100歳を迎えたおじいさんと1日でも長く一緒に作業したい、学びたいと思うと今は毎日がとても貴重です。
自分の新たな挑戦について報告すると喜んでくれるのも嬉しい。『つなぎ・守り続けている』ということをしっかりと伝えたいですね。」30〜40年で収量が落ちるため木を植え替えるのが通常ですが、岡崎ファームには樹齢100年の柿の木があります。実る数は少ないものの、その柿の味は素晴らしく、まさに「格別」だそう。岡崎さんは100歳のお師匠さんと、100年の古木から花御所柿の生産技術と伝統を引き継いでいらっしゃるのです。
鳥取八頭町から、これぞ本当の「開拓者」
柿の値下がりや生産者の減少など鳥取県の柿農家が直面する厳しい現状もまた、岡崎さんのやる気に火をつけました。自分が柿農家のモデルケースとして成功すれば、就農者も増えるはず。地域全体の柿農家を守り、増やしたいと、産地の再生を目指す岡崎さんは、すでに新たな挑戦に取り組んでいます。柿の生産をやめられた方の農地を引き継ぎ、新たな圃場を作るため今まさに開墾作業の真っ最中です。梨の生産に押され気味の鳥取県に「柿」旋風を巻き起こす!岡崎さんの熱き挑戦は続きます。
写真:bokura photography