甘柿と渋柿
毎年、実家から段ボールいっぱいに送られてくる柿。実家の庭の柿の木は、年によって、甘柿が多かったり渋柿が多かったりします。不完全甘柿といって、1本の木に甘柿と渋柿が同時に実をつけるそうです。
「ゴマ」と呼ばれる黒い斑点が入った甘柿ばかりの年もありますが、今年は渋柿が多くて、とてもそのままでは食べられません。渋柿の食べ方の定番は干し柿ですが、柿そのもののかたい食感も楽しみたいので、渋抜きに挑戦しました。
柿の渋み成分は「タンニン」
柿の渋み成分はタンニン。タンニンとは、植物の葉などに含まれるポリフェノールの総称です。いかにも渋そうな名前ですね。タンニンを含んでいる植物は、この渋みによって葉が動物に食べられるのを防いでいます。
渋柿に含まれているのは、タンニンのなかでも「可溶性」タンニンと呼ばれるもので、これが口の中で溶けることによって渋みを感じます。柿の渋抜きの方法は、この可溶性タンニンを「不溶性」タンニンに変えて、口の中で渋みを感じなくすることです。可溶性タンニンは、アルコールや暑さや寒さで、簡単に不溶性タンニンに変化します。だから、焼酎に漬けたり、皮を剥いて寒風にさらすことで、柿の渋みを感じなくなるのです。
柿の栄養と効能を知って、季節の変わり目を元気に!冷凍庫で簡単に柿の渋抜き
渋柿の可溶性タンニンは、冷凍することでも変化します。今回はアルコールなどを使わずに、冷凍庫を使って柿の渋抜きにチャレンジします。方法はとっても簡単です!渋柿の皮を剥いてラップに包み、冷凍庫に入れておけば、2〜3日で渋が抜けて、柿のシャーベットのできあがり。
冷凍庫から出して5分ほどすると、包丁でも切れるかたさになるので、あまり溶かしすぎず、シャリシャリとしたうちに食べるのがおすすめです。トロリと甘い干し柿と、シャリシャリと爽やかな柿のシャーベット。どちらも保存ができるので、秋が終わっても楽しめるのがいいですね。
文・写真/ヨウデザイン 伊藤陽子