自分の作る富有柿で地元の知名度を広めたい!
もともとは名古屋と東京でアパレル関係の仕事に就いていた関谷さん。そこで地元・岐阜県の知名度の低さにショックを受けます。2011年、岐阜県が発祥の地といわれる特産品「富有柿」で、もっと岐阜県を知ってもらおうとUターンを決意。若手農家を育成する研修に参加し農業を学んだ頃、タイミングよく柿農家を募集している畑があり就農。柿農家としてのスタートをきりました。そんな関谷さんが受け継いだ柿畑は、柿の木を横に広げて伸ばすように栽培し、日当たりと風通しをよくした畑になっています。こういった工夫を凝らした畑の柿は昔から評判がよかったそうで、受け継いだ関谷さんは味を損なわないように丁寧に柿の世話をしています。
1年を通した柿の育て方
収穫の時期を迎えるまで、農家さんはどのような作業をしているのでしょう?
まず、収穫を終えた12月からは剪定(せんてい)という作業があります。これは先ほど述べたように枝を横に伸ばすために形を整える重要な作業です。せっきーファームではミツバチが受粉してくれます。その後、摘蕾(てきらい)という、わざと蕾を減らして柿の数を絞り込む作業をします。これによって柿ひとつひとつに十分な栄養が行き渡り、大きな実へと成長していきます。夏は草刈りや水やりなど細やかな世話をつづけ、成長を見守ります。草刈りも除草剤は使わない徹底ぶり。こうして1年を過ごした柿は、色づきを見ながら手作業で収穫をしていきます。秋の冷え込みは一気に色づいて食べごろを迎えます。
ここ数年の天候は暑い日が多くなり、以前はなかった日焼けの症状がみられるようになりました。こういった環境の変化は農家さんを悩ませますが、それも乗り越えて甘くておいしい富有柿を届けられるように取り組んでいます。
柿を美味しく、楽しく食べるアイデア
10月下旬から11月と短い期間で収穫される富有柿。しかし、一気には食べきれません。そんな時はどういった保存がいいのか気になり、関谷さんへ質問。柿のヘタに濡れたティッシュを乗せてからラップでくるみ冷蔵保存するとよいと教えてくれました。また、糖度も日持ちもよい富有柿は、サラダやカレーに入れたりと、家庭での料理に取り入れて季節を楽しめるのも魅力のひとつですね。
2015年、若手農家の関谷さんらしい、新しい柿の楽しみ方を考案しました。それが「ハロウィン柿」です。同じ秋に収穫されるのだから、柿を飾ってもいいんじゃないか?と思い、商品化しました。新しい視点で、これからも『富有柿』と『岐阜県』をアピールしていきます。若い人の農業離れにより後継者がいない現状を危惧しており「もっと若者に農業の魅力を伝えたい」「農業は忙しいだけで稼げないというイメージを崩したい」と話す関谷さん。柿畑の目の前にある幼稚園のこどもたちは柿が大好きです。柿が育つ景色を目の前にしながら成長するこどもたちが、未来の農家を目指してくれる日が来るかもしれません。こどもたちの元気な声をきいて育つ関谷さんの富有柿は、さらに美味しさを増しているかもしれませんね。(取材中も楽しそうに遊ぶ声が聞こえてきました)