始めは「捨て野菜」を漬ける
ぬか床を作って1週間は「捨て漬け野菜(または捨て野菜)」をぬか床に入れます。1~3日程度で捨て野菜を取り替えます。捨て漬けとはぬか床を安定させるために行う作業です。出来たばかりのぬか床は乳酸菌が少なく、塩気がきついです。捨て漬けをすることで、乳酸菌が増え、塩も慣れてまろやかになります。
捨て漬け野菜は白菜、かぶ、大根、キャベツ、キュウリ等、塩分が浸透しやすい葉野菜や水分が豊富な野菜が適しています。1~3日程度置きにぬか床から取り出し、表面についたぬか床をこそげるように落とし、野菜の汁も絞ってぬか床にもどします。上下を返すように混ぜて、再び捨て野菜を加えます。5回以上捨て野菜を取り替えると、10日~2週間でぬか床が馴染みます。
いよいよ本漬け開始!
2週間以降になると、ぬか床の乳酸菌の量も増え、香りも高まってきたら、本漬けをします。野菜はしっかり洗って、水をよく拭き取ります。水気があると、ぬか床が傷みます。そして、野菜全体に薄く粗塩をこすって漬けます。こすってから漬けることで、野菜に傷がつき、芯まで漬かりやすくなります。特にきゅうりやなすは色よく漬かります。擦る前に、野菜の特徴に合わせた下ごしらえをするとよい美味しく漬かります。漬ける素材別に下ごしらえの方法をご紹介します。
きゅうり
エグミがあるヘタの方を厚めに切る。ウリ科の野菜はたくさん漬けたり、長く漬けると、ぬか床に苦味が移りやすく、とりにくいので量は加減する。
大根・にんじん・長芋・かぶ
漬けやすい長さに切り、皮をむいて縦二つ割にする。
みょうが
根元に、十字に深く切り込みを入れる。
※独特の風味のミョウガの古漬けはおすすめ
オクラ
水洗いし、産毛を軽くこすって落とし、しっかり水気をふく。ヘタはついたままで、切り落とさなくてもよい。
パプリカ
半分に切り、ヘタと種を取り出す。
※鮮やかな色を保つため、あまり長時間は漬けない
すいかの皮
漬けやすい大きさに切り、外側の皮をむく。
玉ねぎ
皮を剥き、ばらけないように6〜8等分に切る。
以上の野菜は各々の下ごしらえ後、表面に粗塩をこすりつけてぬか床につけるだけです。その他、一工夫が必要な野菜もあります。
ぬか漬けに一工夫が必要な野菜
キャベツ
ぬか床が大きい場合は、半分または1/4に切って、ざっと粗塩をすりこみ、切り口を下にしてそのまま漬ける。1~3日後、使った外側の葉を1~2枚はがしてまたぬかに戻す。
なす
がくの周りにぐるっと切り込みを入れ、がくの先を切り落とす。ヘタの先も切り落とし、皮を2~4箇所か縦に向き、縞模様にする。縦半分に切って、皮と切り口に粗塩をこすり付ける。両手でぎゅっと絞って、ナスの汁とアクを出す。水がしたたり落ち、シワシワになるまで絞る。
水なす
がくの周りにぐるっと切り込みを入れ、がくの先を切り落とす。ヘタの先、お尻部分を少し切り落し、皮は剥かずに全体に粗塩をこすりつける。皮にしっかり粗塩をこすることで鮮やかな紫色に仕上がる。
野菜を漬ける時間は1〜2日です。ただし、長めに漬けることで独特の酸味や塩気、旨味がでてきます。それは「古漬け」と呼ばれ、そのまま食べるのは味が強すぎるため好ましくなく、料理の旨味だしに使って食べることがオススメです。
古漬けを楽しむ料理レシピ
古漬けの胡麻和え
きゅうりの古漬け適量は薄く切り、だし適量をふりかけて水気を絞る(だし洗い)。しょうゆ少々、白ごま適量、ぬかに混ぜた赤唐辛子(小口切りにする)少量を加えて和える。
古漬けと鶏の汁物
鶏ささ身は茹でて手で細かく裂く。茹で汁はとっておく。大根、にんじん、干し椎茸の古漬は全て千切りにする。鶏の茹で汁を小鍋で沸かし、古漬けを全て加え、再びs煮立ったら薄口しょうゆで味を整える。三つ葉と裂いたささ身を加えてさっと温めたら器に盛る。
1週間、場合によっては1ヶ月もぬか床に入れっぱなしでできる”超”熟成のぬか漬けも細かく切ってドレッシングや野菜炒めなどの調味料として使うことができます。乳酸菌をたっぷり含んでいるので、捨てずにぜひ料理に活用してください。
いかがしたか。初心者の場合、捨て野菜漬けを何度も繰り返すうちはドキドキしながら誰しもが作ったものです。失敗しても解決方法はいくらでもあります。まずはぬか床を作り、本漬けを迎えたら、旬の野菜を使うことを大切にしてください。その土地のぬか床には、その土地の気候風土にあった旬の野菜を合わせると相性抜群。季節の野菜を食べたいな、と感じた時にすぐ食べられるように、ぬか床をご家庭になくてはならない存在にしてみませんか。
ぬか床の手入れ!熟成するほど美味しくなる。