冬から春・夏へ――おうちの味噌作りを振り返ろう

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手前味噌のように、しくじりを作らないために

皆さん、「手前味噌」という言葉を知っていますか?辞書で調べると、「自分で自分を褒めること」と同時に、「自分でしくじりのもとを作ること」という意味が書いてあります。

榎戸園

味噌作りの講師をお願いした榎戸園の榎戸芳さんは、「手前味噌」という言葉のもつ意味に納得した一人です。各家庭ではごくごく身近に味噌を作っており、しくじりのもとにならないよう、昔から丹精込めて作ってきたのだろうと言います。榎戸さんは農産物加工のお仕事をされていますが、毎年味噌を手作りし、東京都青梅市で300年以上続く榎戸園の蔵で味噌を寝かせています。

自分の家庭の味を決めるとも言われる味噌。この機会に、毎年作っている人も、今年はじめて作った人も、ぜひ味噌作りの基本をふり返り、「手前味噌」を作ってみてくださいね。

味噌作りで準備するもの

今回は、東京都の麹屋さん「伊東麹店」へ材料を買いにいきました。伊東麹店では、味噌作りセットが販売されており、このセットを購入。1セットで味噌は4kgできます。伊東麹店では、味噌作りがすぐにできるように麹と塩を均等に混ぜておいてくれているので便利です。

味噌作りの材料

味噌作りの材料

  • 大豆:1kg
  • 麹:1升
  • 塩:400g

麹と塩が均等に混ざっていないと、発酵が均等にならないので、均等に混ざっていることはポイントです!

材料以外で用意するもの

  • 大豆を煮る鍋(圧力鍋でもOK)
  • 味噌を保存する密閉保存容器
  • 大豆をつぶす道具
  • おたま
  • ボール
  • ざる
  • 消毒用のアルコールスプレー

フードプロセッサーなどあれば便利ですが、子どもと作業したり、手作りの良さを出すなら、ポテトのマッシャーがおすすめ。その他、すりこぎや瓶の底も使えます。

味噌の作り方を総おさらい

早速、家で味噌作り開始!
まずは前日の夜に、大きめの鍋に豆を入れ、たっぷりの水につけておきます。翌朝起きたら、鍋に火をつけ、吹きこぼれないように気を付けながら、コトコトと豆を煮ていきます。部屋中に大豆の煮えた匂いが充満してきて、豆が指で簡単につぶれるようになったらOK!
煮るときも、水につけておくときも、豆が水で隠れるぐらいたっぷり水があるように、減ってきたら水を足してくださいね。

味噌作り

豆が煮えたら必ずしてほしいのが、豆の湯を切る際に煮汁を少しとっておくこと、この煮汁はあとで使います。その後、豆が温かいうちに、つぶしていきます。温かいうちにつぶすとつぶれやすいので、すぐにつぶす作業をします。ここからの作業は特に子どもたちと一緒にやるのがおすすめです。子どものつまみ食いに気を付けつつ、一緒につぶします。豆の形を少し残して、お味噌汁のお椀に残った塩漬けの豆を食べる楽しみ方もあります。

味噌

豆がつぶれたら、あらかじめ混ぜておいた麹・塩を入れ、つぶれた豆と均等に混ぜ合わせます。

その後消毒スプレーをかけ、消毒しておいた容器に豆を詰めていくのですが、ここでのポイントは空気がなるべく入らないようにすること。空気が入らないように、豆をおにぎりくらいの大きさに丸めて容器の底に押し込みながら入れていきます。丸めたものを投げつけて空気を抜いていく方法でも構いません。

子供と味噌を作る

また、少しかたいように感じたら、とっておいた煮汁で調整していきます。柔らかさの目安は、小指がすっと入るくらい。

家庭で味噌づくり

最後に隙間なく詰めたら、平らにしてならしラップをぴったりします。ラップの上に塩を入れた袋などを重石の代わりに使うと、ラップをぴったりさせることができます。

味噌味噌を家で手作り

フタを閉めて出来上がり!フタが閉まらない場合は、埃がかぶらないように、袋に入れるなどして対応してください。

温かくなってきた季節に出るよくある質問

味噌づくりのよくある疑問
  • 天地返しはいつすればいい?
  • カビた部分はどうすればいい?

まず天地返しは家庭で作る量であれば重石をするだけで、天地返しは必要ありません。重石をすることで水があがってくるので、水分量などを調整しなくても大丈夫になります。天地返しはもともと発酵を均等にするための作業なので、味噌屋さんのような大きな桶であれば上と下で差が出ることもありますが、家庭で作る少量の場合には重石をしておくだけで大丈夫です。

またカビた部分については、カビた部分だけをとって捨ててください。6月の梅雨の時期以降に、ときどきのぞいてチェックしてみましょう。

難しいと思っている人が多い味噌作りですが、実は簡単!
楽しんで自宅で子どもや仲間と作ってみてはいかがでしょうか?「手前味噌ですが」と近所におすそ分けもおすすめですよ。みんなで日本の家庭の味を大切に。私も来年新豆が出たら、また自分で作ってみようっと。

地域環境学習コーディネーター・ライター 松田悠