黄桃のイメージを変えた桃
缶詰の桃は黄桃、生で食べられる格上が白桃…そんな認識は過去のモノになりました。マンゴーと見違えるような橙色、黄金色(こがねいろ)と表現される果肉の桃がメディアで度々取りあげられ、近年人気急上昇中の「黄金桃」(おうごんとう)です。
「黄金桃」は「ゴールデンピーチ」とも呼ばれ、誕生の地は長野県です。「川中島白桃」から偶発実生しました。白桃から黄桃が誕生する、そんな偶然が自然界にはたくさんあります。たまたま穫れた果実がとても素晴らしいできだった!…育成者の池田正元氏も心躍らせたことでしょう。しかし、ここまで桃業界を変えることになるとはきっと想像もしなかったはずです。
この「黄金桃」が「黄桃」全体のブランド向上に一役買うことになりました。「スイート光黄」「黄貴妃」「黄ららのきわみ」「滝ノ沢ゴールド」など生食でおいしい「黄桃」が次々と登場しています。これらの新しい「黄桃」をかつての缶詰の「黄桃」と区別し「黄金桃」という総称で呼ぶこともあります。「黄金桃」がきっかけとなり、「黄桃=缶詰」の認識を覆したのです。現在、「黄桃」は確実に市場を獲得し、ファンを増やしています。
もう失敗しない!桃の上手なむき方「黄金桃」台頭の背景
そもそも、どうして缶詰の桃には「黄桃」が多かったのでしょうか?それは果肉の特徴にありました。「黄桃」は硬めの肉質で加熱しても煮崩れが少ないため、加工向きだったのです。また、糖度が低めで生で食べてもあまりおいしくなかったために「黄桃」は砂糖で煮詰めて缶詰になっていました。さらに、缶詰用には生産量世界一の中国からの輸入原料が多く、安価に缶詰が作れたという背景もありました。
しかし、現在は加工技術の進歩によって「白桃」「黄桃」関係なく、加工できるようになっています。同じく、桃自体の品種改良も進み、生でおいしく食べられる「黄桃」が開発されて来ました。加工するにはもったいない仕上がりで、「黄金桃」は名前の縁起の良さもあり、「あかつき」「ゆうぞら」「川中島白桃」などと並び、贈答用にも並ぶ程になっています。
10年程前、日本にマンゴーブームが到来したことも「黄金桃」を語るには欠かせません。「黄金桃」を知らない人に、この新しい桃の特徴を伝えるには「マンゴー」で例えると解りやすいという点も人気急上昇のポイントです。まさに「機が熟した」タイミングで市場を得た、マーケティング的にも大変優秀な桃なのです。
おいしい黄金桃、本番はお盆ごろ
ほんのり優しい色の果実、桃。本当においしい「黄金桃」は8月のお盆頃が目安です。知り合いからも「御中元に使いたい」という声も聞きますが、残念ながら桃としてはちょっぴり遅めなのです。「残暑見舞い」だとちょうどよいかもしれません。桃の中では硬めの果肉ですので、手土産としても喜ばれます。お気に入りの品種を、探してみてください。
代表的な新しい「黄桃」3品種のご紹介
黄金桃
芳醇な香り、濃厚な甘さと緻密な果肉はマンゴーのよう。果汁たっぷりで適度な酸味が加わり、全体のバランスがとても良いと人気。マンゴー好きには是非お試しいただきたい桃。(硬さ☆)
黄貴妃
酸味が少なめで甘さが際立つ品種。果汁たっぷりの緻密な果肉で、マンゴーと桃のいいところをいっぺんに楽しめます。果皮が鮮やかな黄色が特徴。(硬さ☆☆ 黄金桃よりも硬め)
スイート光黄
黄桃の中では硬めのタイプ。硬めのままお召し上がりいただくのがオススメです。硬いのに甘くて、果汁たっぷり、ジューシーな新食感の桃です。とろ〜っと柔らかい果肉がお好みの方は追熟させてからどうぞ!(硬さ☆☆☆ 群を抜いて硬め)
畑は生産者さんの人生の縮図/スイート光黄生産者・佐藤春芳さん