学校あげてのレンコン掘り
秋のはじめ、東京都江戸川区東小松川小学校の校庭には見慣れぬ光景がありました。PTAのお母さん方に胴長を着せてもらい、肘までのゴム手袋をはめて、ウキウキした気持ちが溢れんばかりの子どもたち。なんと、校庭の一角に「蓮田」=れんこん畑があるのです。昔、この界隈は水はけが悪く米作りに不向きだったため、蓮田が延々と広がっていたのだそう。その歴史を子どもたちに伝えようと校内に蓮田が作られ、学校・地域(蓮田を守る会)が連携して維持しながら、40年以上も子どもたちの学びの源になっているのです。
毎年4年生は1年を通じてレンコンについて学び、春には種付け、夏には花のスケッチ、そしていよいよ秋の収穫を迎えました。ジャンケンで勝ち残った18名が蓮田に入って収穫を体験し、他学年は授業の合間に交代で見学します。
先頭を切って収穫されているのは田中孝宏校長先生(写真中央)。「こうちょうせんせ—!!がんばってー」と1年生のかわいい声援が響きます。
ハス博士に教わる「レンコン」の育ち方
蓮田の1/3ほど茎と葉を刈っていないところがあり尋ねてみると、「あれは春までそのままにして『親ばす』にするんですよ」と維持・管理の中心としてご活躍の元PTA会長さんが教えてくださいました。春は芽を折らないことが最も重要なので大人の中でも腕のある方々が慎重に収穫するそう。
「これは小ぶりだけど育ち方が分かりやすいかな。節の大きさはそれぞれ違って、先の方はシャキシャキしてて酢の物なんかがおいしいし、太い節はねっとり感があるから煮物に向いてる。節の間のヒゲから栄養を取ってるんですよ。先の尖った白い部分が一番大切な芽です。」
そして、茎をポキンと折って見せてくださったのは、前任の校長先生。なんと茎の中もレンコン同様小さな穴がたくさん!そして見覚えのある糸を引いているのでした。
たくさんの豊かな実り
泥は見た目以上に固くて重く、じんわりと足が入っていったと思うと、もう足が動かない!わー!きゃー!まるでプールの冷たい水に騒いているかのようです。身動き取れず尻もちついた子をPTAのお父さん方が起こしてあげる姿がなんとも微笑ましい。みんな必死でほっぺにもおでこにも泥の勲章が輝いていました。
子どもたちが収穫体験を終えると、大人たちは収穫のラストスパートです。汗をかきながら、時折ふざけあったり歌ったり、とにかく笑い声が絶えません。
収穫したレンコンはお母さん方が手際よく洗って、一旦乾燥させ、後日給食でいただきます。子どもたちのために、地域のために・・校長先生はじめ学校、PTA、地域の方々が一丸となり、しかも誰もが本気で楽しみながら全力で関わっている・・まさに愛情いっぱいの光景です。蓮根栽培・収穫体験の学びはもちろん、この素晴らしい光景も子どもたちの心にずっとずっと残っていくのだろうと思います。
加賀れんこんでまなぶ、レンコンの部位のこと