加賀れんこんでまなぶ、レンコンの部位のこと

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レンコンは横になって土の中で育つ

石川県金沢市にあるレンコン農家「蓮だより」さんを訪ねました。代表の川端さんは、加賀野菜の1つにも認定されている加賀れんこんを育てています。レンコン談議に花を咲かせると、恥ずかしながらレンコンのことを全然知らなかったと反省です。せっかくの機会なのでいろいろと教えてもらいました!

加賀れんこん

レンコンは漢字で「蓮根」と書くことから蓮の根の部分を食べていると思われがちです。ところが、実は私たちが食べているのは、レンコンの根ではなく地下茎と呼ばれる「茎」の部分です。レンコンは土の中で、茎の部分と節のように黒くなっている部分が交互につながっています。その黒い部分から根っこが伸びて土の中から養分を吸収します。レンコンは大根のように縦に伸びているのではなく、横になった状態で根を出しているのです。

れんこんの畑

また、レンコンの節の上には蓮の葉っぱが伸びて、きれいな蓮の花が咲きます。収穫時期が近づくと、蓮の花は枯れて緑色だった蓮台という部分が肥大して、 ハチの巣のような形となりこげ茶色になります。レンコンは節から蓮の葉の茎が伸びているので、風で葉が揺れると、土の中に振動が伝わり根っこ揺れてしまいます。台風などによって根が定着する前に強い風が吹くとレンコンの成長を妨げるとのことです。

真っ白い花が咲く加賀れんこん

石川県で育てられている加賀れんこんは、「支那白花」という種類で蓮の花はピンクではなく白い花が咲きます。レンコンの実も色白で、新レンコンと呼ばれる8月~9月頃に収穫されたばかりの加賀れんこんは、生で食べるとシャキシャキとしていてみずみずしくて、野菜というよりは果物でいう梨のような食感であり味や香りがします。レンコンは土の中で成長するのは9月末頃まで、あとはゆっくりと土の中で収穫されるのを待ちます。

レンコン加賀れんこん

川端さんのところで作っているレンコンは粘りが強くて肉厚です。レンコンは切るとふわっと細い糸を引きます。この糸はムチンという成分で、食べることによってからだの中の粘膜を保護してくれる役割があり、風邪をひきにくくなるといわれています。川端さんはレンコンを育てはじめてから不思議と風邪をひかなくなったとレンコンの効能を感じています。

蓮だより

レンコンは部位で食感が違うの?

レンコンを丸ごと1本手に入れることができたら、部位によって料理方法を変えることで、さらに美味しく食べることができることをご存知ですか?レンコン農家さんの川端さんから部位での使い分けを教えてもらいました。いろいろな食べ方でおいしく味わいたいですね。

1節目・2節目・3節目 ~レンコンの節間が短めで、丸みがある部分~

1節目は柔らかく水分が多めで、2・3節目は粘りもあってもっちりとしているので、天ぷらや煮物にして食べるのがオススメ。特に「蓮だより」さんで作っている加賀れんこんは農薬をつかっていないので、皮ごと食べることができます。

4節目 ~レンコンの節間が長めで、すらっとしている部分~

この部分は繊維質が多めなのでシャキシャキしていて、酢の物やきんぴらに向いています。レンコンできんぴらをつくるときには、輪切りにすることが多いのですが、食べやすい長さに切ってから、縦方向に切ることで、しっかりとしたレンコンの歯ごたえが残ります。縦方向に切るきんぴらも農家さんオススメの食べ方ですのでぜひ試してみてください。

めったに出会えないレンコンの芽(ヨコから出ている部分)

レンコンには、節のところに小さなかわいい新芽レンコンが付いています。この芽は収穫されたあとの出荷作業で切り落としてしまうので、一般的な市場には出回りません。若くてやわらかいので、そのまま素揚にして塩・コショウをかけて食べるとおいしいです。