梅シロップの作り方/レシピ、発酵の対処法まで

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自宅で簡単梅仕事、手作り梅シロップを作る

「梅雨入りしたね。」毎年ささやかれるこの言葉。グレイッシュな空の下、雨露をしたたらせて艶やかかな梅が大きく膨らんできます。毎年欠かさず作っている梅シロップに欠かせない青梅は、6月がピーク。そうです!この時期だけのお楽しみ、梅仕事の季節が到来です。梅シロップの仕込みは、家にいることが多くなるこの時期に勝手がいいものです。

「さあ作ってみよっか!」
仕込んでから数日…夏の始まりに出来上がる梅シロップ。水やソーダで割ってゴクリゴクリと飲めば、夏バテ知らずで過ごせそうです。自宅で簡単に出来る梅シロップ、作ってみませんか?

梅シロップの材料と豆知識

梅シロップの材料

  • 青梅…1kg
  • 氷砂糖…1kg
  • 4ℓ瓶…蓋のぴったり閉まるもの
  • 竹串

梅シロップを作る時に使う砂糖はどんな砂糖?

梅シロップをはじめて作るときに使う砂糖は、氷砂糖を使うといいです。氷砂糖は、砂糖としての純度が高いので、雑味が少ない仕上がりになる特徴があります。また氷砂糖はゆっくり溶けるので、梅のエキスがしみ出す速度とバランスがよく、梅シロップが発酵してしまう失敗が減ります。

だんだん、梅シロップ作りに慣れて来たら、砂糖にこだわって作るのもおすすめです。砂糖の違いが出来上がる梅シロップの色や風味に反映されます。例えば、氷砂糖は透明感がある仕上がりになりますが、三温糖は深みのあるアンバー系の色になったりします。

梅シロップの作り方

1.瓶を消毒します

瓶

熱湯を注いでまんべんなく回します。
または、大きな鍋に湯を沸かし、瓶の蓋のパッキンを外した状態で入れて煮沸消毒をします。その後、ふきんで拭き取り完全に乾燥させます。念入りに消毒する場合はさらにアルコールか焼酎などをしみ込ませたふきんで、瓶の内側、外側を拭きます。

2.青梅を洗います。

青梅を洗います。傷がつかないようにやさしく洗いましょう。

3.青梅のアク抜き

青梅を1〜2時間、水につけてアク抜きをします。

4.青梅の水気を拭き取り、竹串でヘタをとる

梅の下処理

3の青梅を柔らかいふきんなどで水気をよく拭き取ります。このときも表面に傷がつかないように優しく。表面の傷は腐ったり、濁ったりする原因になるからです。きれいにヘタを取るとエグ味のない味わいになります。

5.冷凍庫で一晩寝かせます

冷凍しなくても作れますが、冷凍すると繊維が破壊されるので、梅のエキスが出やすくなります。

6.瓶に青梅と氷砂糖を交互に敷き詰めます

梅シロップ作りもいよいよ佳境です。敷き詰めた青梅の上に氷砂糖をのせます。さらに氷砂糖の上に青梅を敷き詰めます。また氷砂糖を青梅の上にのせます。青梅を氷砂糖で蓋をするようにするのが、梅シロップを作るときのポイントです。

梅の漬け方

▲青梅と氷砂糖を交合に敷き詰めます。

7.冷暗所で保存します

毎日ビンを揺すって砂糖を溶けやすくします。梅はエキスに浸かると発酵が防げます。そのためにも、毎日混ぜたり揺すったりしてください。

梅シロップ作り方

▲1週間後。氷砂糖がほぼ溶けている。

8.1週間〜10日で梅シロップが出来上がります

梅シロップから梅の実を取り除いて、こします。弱火にかけて、アクをすくい、沸騰しないよう15分。火を止めて冷まします。その後、容器に移します。保存は冷蔵庫で。賞味期限は、このように熱殺菌することで約1年になります。

梅シロップの発酵と発酵の防ぎ方

以上が、梅シロップの作り方ですが、混ぜたり揺すったりすることを忘れてしまったり、冷蔵庫に入れるタイミングを逃してしまうと、せっかく作った梅シロップが発酵してしまいます。そのままにしていると発酵が進み、アルコール度が高くなるので、梅シロップ本来の爽やかさがなくなり、渋味のある別物になります。渋味が出てしまったものは、そのまま冷蔵庫に入れておき、冬になるころには渋味が深みに変化してきますので、お湯割りすると飲みやすくなります。

梅シロップが発酵すると次のような症状がでます

発酵の状態例…
・白い泡がシロップの上や瓶の周りに出る
・シロップの色が濁っている
・アルコールのようなツンとした香りがする
・瓶の蓋を開けると、ボン!とはじけるように開く
・梅のエキスが出きらずシワシワにならない

発酵を防ぐためにすること

・痛んでいない青い梅を選び、洗う、拭くなどの下準備の行程を丁寧に。
・砂糖に漬け込んだら、ほったらかしにしないこと。
・1日に最低でも1〜2回は必ず混ぜる。2〜3回(朝昼晩)が理想的です。
・梅一粒一粒の全体に砂糖が馴染むように丁寧に瓶を振る。


砂糖が溶け出してからも、そのシロップと梅、まだ溶けていない砂糖が三位一体となるように、よく馴染ませます。砂糖が溶けてシロップが多くなったら菜箸や大きめのスプーンなどでくるくるかき混ぜて下さい。梅全体にシロップがゆきわたるようにするためです。

また冷暗所〜日光の当たらない涼しい場所〜に置くことをおすすめします。この時期に室内の気温が急激に上がる日があると、発酵が進んでしまうので高温にならない場所を選びます。1週間で8割〜9割の砂糖が溶けます。その後、梅のエキスが十分に出きるには10日〜2週間程必要です。その間は毎日必ず面倒をみてあげて下さい。

梅シロップの発酵に気がついたら早めに対処をしましょう

対処方法
1.梅を取り出す。
2.液だけを鍋に移し、弱火で加熱する。(沸騰させると梅の風味が失われるので注意する)
3.アクを取り除きながら、アルコール分を飛ばします。滅菌され、発酵をとめます。
4.冷ましてから瓶にシロップだけ戻します。

※漬け始めてまだ梅のエキスが出きっていない(約10日以内)と感じたら、加熱したシロップと一緒に梅も瓶に戻します。この方法で梅シロップの風味や味が元に戻り、発酵が進んでしまったものも、発酵を押さえることが出来ますが、発酵させないために、下準備を丁寧にしておき、毎日こまめにかき混ぜましょう。

梅シロップにカビの発生を防ぐために

また、カビが出る可能性もあります。実についたカビを取り除いたとしても、カビ臭さがシロップに残ってしまいますので、発酵を防ぐためにすることと同じように、1日に最低でも1〜2回は必ず混ぜてあげてください。悲しい結果にならないようにしたいですね。

保存料、添加物なしの梅シロップを作って、夏を乗り切る。

梅シロップは保存料、添加物なしの飲み物です。
丁寧な下ごしらえをしながら、梅シロップを作るとクリアーな味わいに仕上がりますよ。水やソーダでお好みの濃さにうすめてお飲み下さい。寒天を梅シロップで作っても美味しいので、夏のおやつに最適です。

梅シロップ

「梅雨」の文字に「梅」が使われるのは「梅の実が熟す頃に降る雨」という語源から。昔からこの時期に欠かせな日本の風物詩です。季節のしつらえを 楽しんでみてはいかがでしょうか。

(文・写真・イラスト/ほしまさみ)