岐阜・高山の風土が作り出すとろける甘さの極太ねぎ・飛騨一本太ねぎ

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岐阜・高山の風土を大切にした野菜づくり

山の紅葉が鮮やかに色付き、寒さがぐっと増して霜が降りると、冬野菜が甘く美味しくなります。葱もその中のひとつですね。先日、岐阜県高山市国分町で飛騨一本太ねぎを栽培されている野村農園さんへ伺いました。畑がある国府町は、市街地からは少し離れたのどかな地域。周囲は小さな山に囲まれていて、近くには清流・宮川が流れています。

野村農園さんは江戸時代から続く農家さん。ご主人は12代目で、奥さんの美也子さんと夫婦で農業を営んでいます。野村農園さんでは、飛騨の伝承野菜をはじめ、イタリア野菜などの西洋野菜やお米など、多品目の作物を栽培しています。できるだけ農薬の使用を減らした野菜づくりに力を入れ、地元の良質な有機資源を活用した肥料を中心に、ほとんどの野菜は農薬は使用せず、畑にやってくる虫や鳥、動物達の力を借りながら、極力自然に近い環境で育てています。

高山・野村農園

野村さんの野菜づくりに対する想いと、自然豊かな高山の風土に恵まれて育っている畑の野菜達は、のびのびと力強くて味が濃く、そして野村さんの人柄が表れているかのようなやわらかい優しい味わいがとても印象的でした。

地元で愛される飛騨の伝統野菜

飛騨の伝統野菜

「飛騨一本太ねぎ」は、岐阜県高山市を中心に栽培されている岐阜県の伝統野菜に認定されているねぎです。とても太くて立派なねぎで、地元では昔から「労を葱らう」と言うことから、お歳暮などの贈り物として親しまれています。

飛騨一本太ねぎ

全体的に柔らかく、ずっしりと白根の部分が太いのが特徴で、大きいものは直径5~6cmになるものも。ねぎとねぎの株間を広くとる栽培方法で、太く大きく育てます。土寄せは、ねぎの成長に合わせて3回、1本づつ丁寧に手作業で行われます。収穫は、寒くなって霜にあたって甘味が増してくる11月頃から始まり、12月の雪が積もる前までに収穫を済ませます。

飛騨一本太ねぎのとろける甘さのヒミツ

畑へ行くと、ねぎが10本程度にまとめてワラで束ねて、横に寝かせて並べられていました。これから冬の間、ねぎ達が雪の中で過ごす為の準備で、寝かせておくのは、雪の重さでねぎが潰れないようにする為。又、ねぎが上に向かって伸びて曲がることで、柔らかくなるんだそうです。

飛騨伝統野菜

柔らかさも魅力の飛騨ねぎですが、粘りけがあり甘いのも魅力のひとつ。葉中にとろりとしたゼリー状の粘質物が一般のねぎよりも沢山入っているのも特徴です。このゼリー状のものは寒さから身を守る為に、ねぎ自身が糖を蓄えようとすることで作られます。雪が多く降る地域では昔から雪の中で野菜を保存しますが、このように雪の中で冬を越した野菜を「雪中野菜」といい、雪の布団の中でじっくりと寝かせたものは、甘さと柔らかさがグンとパワーアップするんだそうです。雪の中で更に美味しさが増した春先の飛騨ねぎも楽しみです!

野村さんから、飛騨一本太ねぎのおすすめの食べ方も教えていただきました。

飛騨一本太ねぎの焼きネギ

やっぱりねぎ料理の定番「鍋」や「すき焼き」に。もしくは、ねぎが真っ黒になるまで焼いた熱々でトロトロの甘~い「焼きねぎ」。

飛騨一本太ねぎのおぞうに

それから野村さんのお宅のお正月は、飛騨ねぎ・ちくわ麩・お餅のお雑煮でいただくそうです。ねぎを、どーん!と豪快にざっくりと、大きなぶつ切りにして入れることがポイントなんだそうですよ。柔らかく煮込まれてお出汁を吸ったねぎがとっても美味しそうですね!私もお正月に作って食べてみようと思います。

文・野菜ソムリエ・ナチュラルフードコーディネーター 桜井さちえ