気配り上手は白和え上手
和定食の小鉢として、また精進料理の代表格でもある白あえ。様々な野菜などを具に豆腐のあえ衣であえればバリエーションが無限に広がるお惣菜です。栄養価がバランスよくとれ、サラダのように食べられます。
和食の一品にかかせない白和えとは白あえはちょっとした「気配り」で味がワンランクアップするのをご存知ですか?
それは「水気」に気をつけることです。
- 豆腐の水分を十分にきる
- 具材の水分を十分にきる
→ 茹で上がったあと、また具に下味付けをした場合にも - 食べる直前にあえる
→ あえて時間がたつと豆腐と野菜(具材)から水分が出るため、水分があると味がぼやけてしまいますのでしっかり水きりすることが大切です。
白和えの定番具材といえば、ほうれん草。
12月から2月の寒い時期なら「ちぢみほうれん草」をつかってみてはいかがでしょうか。「ちぢみほうれん草」(またの名を「寒じめほうれん草」)は湯がくと柔らかく、味は甘く濃く、冬限定の美味しさです。なめらかな豆腐と野菜の甘みに、ついつい箸がすすんでしまいます。
ほうれん草の白和え・作り方
ほうれん草の白和え・材料
- 木綿豆腐:1丁
- ちぢみほうれん草(またはほうれん草):1束
- ○練り胡麻:大さじ1
- ○砂糖:大さじ2
- ○醤油(あればうす口醬油):小さじ2
- ○塩:ひとつまみ
ほうれん草の白和え・作り方
1.白あえ衣をつくります
豆腐を水きりする———
最も丁寧に作るなら最初に豆腐を湯がきましょう。(豆腐の臭みがとれます)
バットに網を置き、キッチンペーパーかさらしに包んだ豆腐をのせ、さらに1キロ程の重し(皿や口の空いていない1キロの塩や砂糖の袋)をのせます。20分後、キッチンペーパーを取り替えます。(さらしなら水気を絞り、再び包む)重しをのせてさらに20分おきます。
2.調味料を合わせる
材料の「○」の4つの調味料を混ぜ合わせておきます。
3.豆腐をなめらかにする
水気をきった豆腐は約半分くらいの厚みになり、しまっている。手でちぎることができます。
水きりした豆腐をちぎり、すり鉢や泡立て器、フードプロセッサーを使ってなめらかにします。今回は泡立て器を使いました。
4.白あえ衣の完成
なめらかになった豆腐に合わせておいた調味料を加えてよく混ぜます。
5.ほうれん草の準備
ほうれん草をゆでる———
たっぷり沸かしたお湯に塩を入れ、よく洗ったほうれん草を切らずに2株ずつ茎から湯に入れて1分程ゆでます。
茹でたらよく水気をきる———
冷めたら束ごとしぼります。2㎝幅に切りさらにぎゅっと、水気をきります。
6.白あえ衣であえる
いただく直前に水気をきったほうれん草と白あえ衣をボウルに入れてざっくりとあえます。
具の美味しさを際立たせる白あえ衣
ところで白あえの豆腐は木綿を使うのが一般的なようですが、なぜでしょうか。
絹は木綿より水分を多く含んでいます。絹であえ衣をつくってみたところ、とろりとなめらかな衣になり〝白あえ衣〟というよりは〝白あえソース〟にちかいものになりました。また豆腐の味わいがやや薄く感じました。
木綿のあえ衣はしっかりとして、絹に比べるとやや固め。具を上手にまとめてくれます。主役のほうれん草を引き立たせる豆腐の甘みと旨みが凝縮した濃厚さがあり、具材の個性を際立たせてくれます。好みもあると思いますが、木綿豆腐でつくることをおすすめします。
簡単ですが、食べる人へ思いやりを持ちながら作る白あえには、美味しさとともに相手に真心も伝わるのではないでしょうか。愛情込めて、笑顔で丁寧に、あえて下さいね。
文・写真 /ほしまさみ