山芋と里芋はどう違う?
山芋は「ヤマノイモ科ヤマノイモ属」。食べるのは根の部分です。自然薯(ジネンジョ)は別名で、一般的に言われる山芋と同じものですが、長芋も山芋にとても良く似ていますが、実は別の種類です。比較的低い、里山と言われるような場所に蔓(ツル)で自生します。旬は秋。地中に深く長く伸びるため、うまく掘り出すのがとても大変!私が小さい頃、祖父がよく「自然薯掘りは骨が折れる」と言っていたのを思い出します。「むかご」とよばれる山芋の赤ちゃんも食材として使われます。
里芋は東南アジア原産の「タロイモ」の仲間。日本には文明が始まった頃に渡ったと考えられており、古くから日本に自生していた種類です。旬は夏の終わりから秋にかけて。芋茎(ズイキ)と呼ばれる葉の部分も食べられます。里芋は別名は特にありませんが、里芋の中にも品種がいくつかあり、ヤツガシラやタケノコイモ、エビイモなども里芋の一種です。
「粘りがあるのはどっち?ぬめりがあるのはどっち?」~成分と効果~
どちらもヌルヌルしていて、手がかゆくなったり、扱いにくかったりしますね。粘りがあるのは山芋、ぬめりがあるのは里芋です。
山芋の粘りはムチンと呼ばれるもので、新陳代謝を促します。そして、タンパク質を分解する酵素が含まれているため、消化機能を助け、弱った胃腸の働きをも助けてくれます。更にムチンは肝機能や腎機能を高めたり血糖値を下げたりする働きがあります。
一方、里芋のぬめりはどうでしょう。山芋にも含まれるムチンと、ガラクタンという成分がこのぬめりの正体です。ガラクタンは、免疫力を高め、血糖値やコレステロール値を下げる働きがあると言われています。動脈硬化や高血圧を予防してくれる優れた成分なのです。もちろん、里芋にはムチンも含まれていますから、山芋と同じ効果も期待できます。
どちらも滋養強壮・疲労回復に一役買ってくれ、現代人の生活習慣病を助けてくれる頼もしい食品なのです。
生で食べられるのはどっち?火を通さなければならないのはどっち?」~調理方法~
芋類のなかで唯一生で食べられるのは山芋です。すりおろして「とろろ」にする食べ方が主流かもしれませんが、短冊に切ってポン酢や出汁醤油をかけたりするのも美味しいですね。梅を添えたりすると最高に美味しいですね!胃腸が弱った時、とろろにした山芋はするりと食べることができ、更に胃や腸を守りながら身体を回復させてくれます。麦ごはんととろろの組み合わせは美肌効果も抜群です!
生食だけでなく、蒸したり揚げたりする調理法もあります。茶碗蒸しの上に載せて蒸したり、とろろを海苔で巻いて油で揚げ、揚げ出しにするとおつまみにも嬉しいですね。
里芋は火を通さないと食べられません。ぬめりがあまり好きでないときは、米のとぎ汁や塩などで茹でて下ごしらえをするとぬめりが取れますが、これをしてしまうと先にご紹介した折角のぬめりの成分が落ちてしまいます。ぬめりの残った状態で食べることをオススメします。
芋煮、筑前煮など、煮る調理が主です。鶏肉との相性は抜群です!薄口の醤油などで炊き、里芋の風味を残して調理すると良いでしょう。その他、皮ごと蒸す「きぬかつぎ」や、素揚げ、天ぷらなども美味しいです。
芋茎は灰汁が出るので、何度かゆでこぼします。ちょっと下ごしらえが大変ですが、油揚げなどと一緒に炊いたりすると絶品です。乾燥させて保存することもあります。