イチゴに導かれ、家族みんなが笑顔の毎日に。/香川・綾川町 大西三寿子さん

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まさに「畑違い」の就農

香川県の中部に位置する綾歌郡綾川町に、かわいいイチゴが実るハウスが並んでいます。大西三寿子さんがご主人と経営されているイチゴ農園です。「愛媛県から香川県へ嫁いだ頃は、夫もサラリーマンだったため「農業」をすることになるなんてまったく考えていなかった」と話す大西さん。もともと、ご主人の実家は養鶏からイチゴの生産に切り替えられた農家でした。

大西

ご両親がイチゴ栽培をやめる直前、最後の1年に「やってみる?」とハウスの一部を任されて、一人でイチゴの栽培に挑戦したのがはじめての「農業」だったそうです。そのとき感じた「あれ?楽しいかも!」という気持ちが今につながっているのでした。当時は会社勤めのご主人のハードワークを心配する日々。やがて、夫妻でイチゴ農家として出発することになります。ご両親はすでにやめられていたため、継承する形ではなく二人で新規就農し、1からスタートしました。

「農業」の魅力を満喫中

大西さんは香川県自慢の品種「さぬきひめ」を栽培しています。イチゴは9月に苗を植え、11月末から収穫がはじまり、収量は減るもののなんと6月まで収穫できるのだそう。冬作物の印象が強いイチゴですが、3月〜8月あたりは土を消毒したり、育苗ハウスで次の苗を育てたり、と1年を通じてさまざまな作業があります。「苺の栽培は作業的にも女性向きだと思います。朝から苺のお世話をできるのは幸せだなあって感じますよ。やっぱり、苺はかわいいですからね」生き生きとお話される笑顔は、農業に就くなんて考えてもいなかった方とは思えないくらい。

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大西さんのハウスは自宅の目の前に並んでいます。小学生の子どもが学校から戻るときには迎えることができ、お稽古ごとに送っていくこともできる。そして何より、子どもは働く両親の姿を間近に見ることができる。そういったことも含め「農業って、世間のイメージよりずっといいものだと思うんです。子どもたちの憧れの職業になってほしいなあと思うと、楽しんで働く姿を見せたいですよね」と話します。

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女性生産者の視点は大事な武器

2年前には「中讃農業女子ネットワーク」の発足と同時に所属し、今では11名の女性農業者と研修会を開催したり、農業フェアに出店したりしています。「ゆるっと繋がっている感じがちょうどいいんです。露地野菜の方もいれば米麦の方もいて、知らないことがいっぱいだからおもしろいですね」香川県に広く展開するスーパーに「中讃農業女子ネットワーク」の産直コーナーを設けており、「ぼやっとちゃん」のロゴマークがついたそれぞれの農産物が並びます。

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ネットワークのメンバーは30〜50代の女性だからこそ、主婦の視点が生かされているそう。例えば、「『じゃがいも』と書いたPOP には、ちゃんと『キタアカリ』って書かないと!」と。今や消費者も品種で選ぶ時代。パッケージにもこだわり、レシピをつけたり、ポップを手書きしたり・・女性ならではのアイディアが光ります。就農から4年目を迎えた今、「夫と二人三脚でやってきた経験、そして中讃農業女子ネットワークで受ける刺激や学びを生かしたい」と、これからのイチゴ栽培がますます楽しみな大西さん。よりスムーズに出荷できるよう建設中の作業場の完成も目前です。「いつかは直売や加工なんかもできたら・・」夢はどんどん膨らんでいきます。

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