北窓開けて、たけのこのお味噌汁を作りましょう
お味噌汁ほど四季を盛り込むのに適切な家庭料理はありません。野のもの、山のものといった旬の食材を活用し、毎日違った具や味噌で作るお味噌汁がある生活にとても豊かさを感じます。さて北窓を開ける春がやって参りました。お味噌汁に春の具…といえばたけのこが思い浮かびます。
合わせて早春に刈りとられる柔らかなわかめが手に入ればなおよろし。この春、一度でいいから試してみてください。四季のある日本の食卓の幸せなことを感じてみてください。
たけのこも部位で使い分け、姫皮はお味噌汁に!
丸々一個のたけのこ、あなたならどう使いますか?たけのこもまた部位に分けて調理してみましょう。味の深い根元の部分はお刺身や煮付けにむきます。姫皮(穂先の内側の薄く柔らかい部分)は和え物・ちらし寿司・たけのこご飯・みそ汁にしてみてはいかがでしょうか。特に〝みそ汁〟はたけのこの香りとほろっとした食感に気持ちがなごみ、体の芯から活力が沸いてくるような気がします。
たけのこの味噌汁の材料
- アク抜き済みのたけのこ(姫皮、穂先部分) 適量
- わかめ 適量
- 出汁 500ml
- 味噌 大さじ11/2
たけのこの味噌汁の作り方
1.材料を切る
ゆでたたけのこの姫皮を繊維を断つようにせん切りにします。穂先は1~2㎝幅に切ります。産毛のある皮も、根元付近は柔らかく食べられます。1枚1枚食べられる部分はないかとよく見て合わせてせん切りにしましょう。
わかめは、塩抜きして、さっと湯搔いた後、広げて2~3㎝幅に切ります。
2.出汁を作る
お味噌汁の出汁は煮干しを使う方もいらっしゃるかもしれませんが、たけのこの香りを引き立てる鰹節と昆布の出汁をおすすめします。出汁を温め、弱火にし、味噌をときいれます。
味噌は粒味噌とこし味噌がありますが、粒味噌をお使いの場合は小さなすり鉢で擦ってからとき入れるとなめらかに味噌の香りもよくなります。
3.温めて完成
味噌をといた出汁を弱火のままに、たけのことわかめをいれます。たけのこもわかめもすでに湯搔いてあるので具に熱が入る程度に。決して煮ることないようにしてください。味噌汁の適温は62度から70度といわれます。沸騰直前(95度くらい)で火を止めます。
それから汁椀によそうまでに温度が下がるので、美味しいくいただける適温になります。
味噌汁は火を入れる度に美味しくなくなります。ぐらぐら煮たり、何度も温め直すことのないように気をつけましょう。
- 市販の通年出回るたけのこの水煮でもできますが、自分で生のたけのこをアク抜きしたものは香りが高く美味しいです。
- たけのこを穂先でなく根元をつかうなら1㎝幅ほどの銀杏ぎりにします。
- たけのことわかめは味噌汁の中で煮すぎない事。風味が失われてしまいます。
- 味噌の量はお好みですが、今回はたけのこと出汁の香りを引き出したいため控えめにしました。
たけのこ、只今すくすく伸びています
「たけのこは日中の最低温度が5度を越えると1日5㎜成長、10度越えると3㎝、15度越えると20〜30㎝伸びます。土から頭を出していないときは足の感覚をたよりに探します。前年の7月8月の雨量によって収穫量が変わり、9、10月の雨がたけのこを太らせます。雨もしっかり降ったので出始めは遅れましたが、形状・味ともに出来がよいです」
と、臼杵さん。最旬は4月15日〜25日で、5月初旬まで収穫は続きます。
3月は〝早掘りたけのこ〟といい果肉がしっかりしていてエグミが少ないのが特徴です。最旬の時期に向かって柔らかくなり、甘みものってきます。この時期だけのたけのこの味で食卓から春を感じてみてはいかがでしょうか。
文・写真 / ほし まさみ(イラストライター、野菜コーディネーター)