干し椎茸と生椎茸の違いとは?
椎茸といえば、低カロリー&食物繊維が豊富でヘルシーな食材なイメージですね。椎茸の栄養素を見てみると、なんと全体の90パーセント近くが水分です。生椎茸の美味しさは肉厚&ジューシィな食感ですが、水分たっぷりだからこその味わいなのですね。そんな椎茸の水分を飛ばし乾燥させたのが干し椎茸ですが、この二つの椎茸、栄養価はどのように違うのでしょうか?
干し椎茸と生椎茸の栄養の違い
椎茸の栄養素を見てみると(日本食品標準成分表調べ)、水分のほか、たんぱく質・炭水化物・カリウム・ビタミンD・食物繊維などが含まれています。生椎茸を乾燥させ、干し椎茸にすると、水分量が1/10になりカロリーも10倍になります。食品を乾燥させることは、保存性を高め、旨みや香りを凝縮される効果がありますが、椎茸は干すことで栄養素もアップします。これは椎茸特有の現象とも言われています。
生椎茸を干すことでどのような変化が起こるのかというと、椎茸に含まれている「エルゴステロール」という成分がビタミンDに変化します。また、乾燥することにより、細胞膜が傷つき旨味成分「グアニル酸」が出やすくなる効果も。この「グアニル酸」は、和食の三大旨味成分の一つとも言われており、干し椎茸が煮物や汁物などの日本料理によく使われるのもうなずけますね。
生椎茸を干すことで変化するビタミンDの働き
干し椎茸に豊富に含まれるビタミンDは、体内に吸収され腎臓・肝臓で活性型ビタミンDに変換されます。この活性型ビタミンDは、カルシウムやリンの体内への吸収アップ&骨への沈着を促します。これにより、骨の成長を促し、丈夫に保つサポートをしてくれます。また、ビタミンDは体内のカルシウム濃度を一定に保つ役目も担っています。カルシウムは、筋肉の収縮や神経伝達といった生存のための重要な働きに関わるため、カルシウム濃度の調整を行うビタミンDは、私たちの健康にとって欠かせない栄養素のひとつなのです。
干し椎茸を選ぶ時のポイント
せっかく干し椎茸を選ぶのなら、より栄養価の高いものを選びたいもの。実は干し椎茸には、太陽の光をたっぷりと浴びた天日干しのものと機械による熱風で干したものがあります。ビタミンDの生成には日光が欠かせないため、干し椎茸ならではの栄養素をたっぷり摂るには、天日干しの干し椎茸を選びましょう。もし熱風で乾かしたものしか手に入らない時は、ザルの上にカサを上にして並べ、1時間ほど天日に干します。日光に当たることでビタミンDが増えるので、時間に余裕のある時にオススメです。
干し椎茸を美味しくするコツ
八王子にある椎茸農家の田倉さん(ぐりーんふぁーむタクラ)に栄養たっぷりの椎茸を美味しくするコツについて聞いてみました。
干し椎茸の種類は冬菇、香信、香菇とあります。「ころんとしているのが冬菇、開いているのが香信」田倉さんの作るスライスした干し椎茸は、冬菇と香信がまざっていますが表記は香信としています。また同じ冬菇でも菌床栽培・原木栽培と、栽培方法に違いがあるそうです。田倉さんの作る椎茸は原木栽培です。
田倉さんは生椎茸の生産がメインですが、規格外の生椎茸を干し椎茸にして販売もしています。
「本来椎茸は風味のあるものです。干し椎茸はもっと風味や旨味が多く、出汁にもなります」
干し椎茸は手間と時間がかかりますが、保存が利くことや天日干しすることで、グルタミン酸が増すそうです。田倉さんのつくるスライスされた干し椎茸はそのまま出汁や水に入れると美味しいスープやうどんのつゆになるそうです。
干し椎茸の干し方には違いがあり、天日干しと機械干しがあります。田倉さんでは1日天日干ししてから2日機械乾燥させるそうです。現在流通している干し椎茸のほとんどは、熱風による機械乾燥です。機械干しだけだと真っ白く仕上がります。天日干しをしたものは茶色くなりますが日光の力によって、旨味があり美味しく、また栄養価も上がるそうです。
「買ったたものが機械干しだったら太陽に当て直してみてください。旨みがアップしますよ」
田倉さんの奥さんが教えてくれました。