大根の葉は保存がむずかしい
晴れた秋の日の朝。八百屋さんは忙しそうに仕入れた野菜を次々並べていました。軒先では瑞々しい緑の葉っぱをワサワサとつけ軸はピンとした大根が「手に取って!」といわんばかりに箱の中に立ち並んでいました。誘われるまま、引き抜くように持ち上げてみると、予想以上にずしりと重く、泥つきのすらりとした姿はさっきまで土にもぐっていたようすが想像されます。
「ここ見てくださいよ。農家さんが、黄色くなった大根の葉っぱをとって、きれいな葉っぱだけにしてまるいてるんですよ」一部分切り取られている葉の付け根を指差して八百屋のご主人が言いました。「まるいて」というのは「束ねる」ということだそう。この一手間に、大根は葉っぱまでも美味しいから食べてほしい、そんな農家さんの心意気が伝わるようです。
大根の葉、使い方のポイントは「始末」の料理大根とちがい、大根の葉は日持ちしないですよね。そんな、保存の難しい大根の葉を、その日のうちになんとかしなくちゃと少しばかり気をせかしつつ、塩揉みにしてご飯に混ぜたり、お味噌汁に入れたり、ごま油で炒めたり…定番は和のスタイル。
しかし今日は趣向を変えて、ジェノベーゼ風にしてみました。簡単で一気に大量消費でき、日持ちもします。ぴりっとした大根の辛みが爽やかなグリーンペーストです。
大根の葉のジェノベーゼ風・グリーンペースト
材料
- 大根の葉:1束
- にんにく:1片
- 無塩くるみ:ひとつかみ
- エキストラバージンオリーブオイル:150ml〜200ml
- 味噌:大さじ1
- 黒こしょう:少々
- 塩:小さじ1/2
作り方
1.下処理
にんにくを刻みます。大根の葉も刻み、塩揉みしてアクを抜きます。
2.くるみの準備
くるみを炒り、香ばしくします。
3.完成!
下準備した素材に、くるみ、味噌、黒こしょう、オリーブオイルをフードプロセッサーにかけ滑らかにします。
フードプロセッサーがなければミキサー、またはすり鉢をお使いください。ミキサーは回転しない場合は大さじ1から少しづつ豆乳を入れて回転できるようにしてください。(入れ過ぎにご注意ください)
くるみの他にアーモンド、ミックスナッツ、松の実などでも美味しくできます。
日本でいうジェノベーゼソースは主にバジルの葉、にんにく、松の実、パルメザンチーズ、オリーブオイルをブレンドしたものです。味噌の他に胡麻ペーストでもコクがでます。今回の大根の葉のソースにはパルメザンを味噌で代用して〝ゆるマクロビ〟にしてみました。パスタに和えたり、お肉やお魚料理に添えたりアレンジしてみてください。冷凍保存もできます。
葉は酵素の宝庫
緑黄色野菜である大根の葉はカロチン・ビタミンC・カルシウムなどが豊富に含まれています。さらに新鮮な生の葉には酵素も含まれています。酵素は人間が活動する上でなくてはならないもの。消化や呼吸などを助けて助けてくれる役割があります。しかし加熱すると壊れてしまう性質があります。このグリーンペーストなら酵素を生きたまま体内に取り入れることができそうです。イキイキした身体作りのためにも葉っぱは残さず召し上がってくださいね。
大根は部位によって甘さが違う、上手な大根の使い分け。文・写真・イラスト/ほしまさみ