選定基準は80種類!?
鳥取県は、カニの水揚量日本一!日本全国の約45%の割合を占める一大産地なんです。ハイブランドのズワイガニの雄「松葉ガニ」、脱皮したての松葉ガニ「若松葉ガニ」、ズワイガニの雌(つまり松葉ガニの雌)を「メガニ」と呼ぶなど、状態によって細かな名称に分かれます。
それらのカニは高品質を保つために、種類ごとに厳しい選定基準が設けられています。その基準には「より上質な、より美味しいカニを届けたい!」という、漁師さんたちの強いプライドが感じられます。ただ大きいだけでは美味しいカニとはいえません。詰まっている身と味噌の重量のバランスがサイズに見合っているかが大切です。水揚げされたカニは全て形や色が整っているわけではありません。まず種類で分けられ、さらに同じ種類の中で、大きさ、重さ、形によって階級が分けられます。
さらには色が異なるもの…「ウスカケ」「オオヤケ」「クロ」や、中身が少ないもの…「ブワ」、足が欠けてしまっているもの、一度欠けた足がまた生えてきて短い足があるもの、キズもの…などなど…細かに選別され、ランク別に分けられます。これらの選定基準はおよそ80種類ほどにおよびます。その後、長年の経験と確かな目を持った仲買人たちが競り落とすのです。
タグはプライドの証
カニには、市場に並ぶ前に、漁から戻ってきた船がタグをつけます。そこには漁港と船の名前が記されています。水揚げされる漁港の名称は大変重要です。
「松葉ガニ」は日本海の丹後半島から島根県沖の限られたエリアで生息している「ズワイガニ」のことです。「ズワイガニ」は一般的には日本海全般に生息しているのですが、このエリアは地質やプランクトンの種類によって特に上質のカニが育ちます。つまり「松葉ガニ」は水揚げされる漁港が限定されているのです。漁師さんは一つ一つ厳しい目を持って選別し、甲幅が11cm以上の大型のものを選び、正真正銘、鳥取県産品質の証であるタグを付けて出荷します。そして鳥取県内の水揚港である鳥取港、網代港、境港の3ヵ所に集約され、競りにかけられます。
選定基準を磨き、さらに品質を高める
競り場はスピード勝負です。たくさんのカニが並ぶなかでより早く美味しいカニを見抜き、仲買人は鮮度が高いうちに手に入れなくてはなりません。たくさんのカニを見て培われた、漁師、競り人、仲買人の厳しい目により見抜かれた品は細心の注意を払って流通されています。
例えば、1枚の身入りのよい大きなカニは「たてガニ」と呼ばれて、1枚ずつ扱われますが、小さいものは箱単位で、1箱の中に何枚入っているという扱いとなります。特に階級の高いものは、鮮度を保つために水をはったケースに入れられた状態で競りを行います。細かな選定基準を基に三者が連携し合い、品質を高めています。
平成27年には「松葉ガニ」のさらに上のブランドも生まれました。「特選とっとり松葉ガニ五輝星(いつきぼし)」です。通常の「松葉ガニ」以上の5つのトップ基準が設けられ、それをクリアーした希少価値の高い(全体の1.5%に満たない希少性!)カニです。その大きさは甲幅13.5センチ以上、重さは1.2kg以上で130万円の競り価格のものも出ました。これには網代、賀露、田後、境港、境港魚市場(株)の5か所のプロの目利き人が選定基準を統一し、選定しています。このように漁業関係者は上質なカニを届けたい思いを基に、それぞれが信頼し合い、品質向上へ意識高く取り組んでいます。