玄人でしかわからない!?カニの色の選別
外は雪景色。お鍋の中から上がった湯気の中から真っ赤に茹で上がったカニが顔を出す…冬ならではのこの光景は白いキャンバスに描かれた一輪の花のようなイメージがあります。そのカニの姿に寒さ厳しくても「冬って最高!」と笑顔になり、お腹と心があたたかさで満たされるようです。
自然がもたらす美味しい色をもつカニ。食品の色には美味しさを伝える印象や栄養成分があります。こちらではカニの色に関する豆知識をご紹介します。
カニの選別基準が厳しいことをご存知でしょうか。各漁港によって、何十種類もの選別基準があり、品質向上に努めています。それは形や大きさだけでなく、色についての区分けもされています。
活きカニはどちらかというと地味な色をしていますが、この色も種類によって、また同じ種類でも微妙にちがいます。例えば「松葉ガニ」は光沢のあるやや紫がかった茶褐色をしています。それをさらに細かく「ウスカケ」「オオヤケ」「クロ」など色の微差で分類します。これは素人目にはなかなか解りにくい区分けです。この色の違いにより価格が変わるのです。
茹でると赤くなる理由
活きカニは茶色っぽい色をしていますが、茹でると真っ赤に染まるので、活きガニと茹でカニは区別が簡単にできます。
・茹でると殻も内側も花が咲いたように真っ赤になる「花咲ガニ」
・鮮やかなオレンジ色になる「松葉ガニ」など
赤は食欲をそそる色であり、交感神経にも刺激を与え、体温・血圧・脈をあげる色です。寒い冬にカニの赤色を見ると自然と身体が温まるような印象があります。さらにその赤色は成分的にも身体に良いことがあるようです。
カニを茹でると赤くなる理由は「アスタキサンチン」という色素にあります。カニは元々は海底で身を守るため、茶褐色をしていますが、その殻にはこの「アスタキサンチン」というオレンジ色の色素が含まれています。通常「アスタキサンチン」は「クラスタシアニン」というタンパク質と結合して包まれていますが、茹でると「クラスタシアニン」が壊されて「アスタキサンチン」が解放されるので殻が赤く染まるのです。
「アスタキサンチン」は、カニの餌である藻・微生物などからできています。藻・微生物には抗酸化成分があります。ですから「アスタキサンチン」がもつ抗酸化成分はとても高く、美肌効果や免疫力をアップさせるなど美容と健康効果が期待されるのです。
食べても大丈夫?黒い変色
生のまま冷凍したカニを解凍して、そのまましばらく置いていると徐々に黒ずんできてしまいます。これはたんぱく質の酸化によっておこる「黒変」というものです。カニのたんぱく質のアミノ酸の中には「チロシン」と呼ばれる、メラニン(ニキビやシミの原因である黒い色素)の元が含まれています。(たんぱく質はアミノ酸で構成されています)ここに酵素が働くことによって黒変が起こります。
酵素は加熱すると働かないので茹でたカニは解凍しても黒変はしません。黒くなっても問題はありませんが、美味しそうには見えませんよね。自然解凍でなく流水解凍をして黒くなる前に早めに食べましょう。〝見た目よし・味よし・身体にうれし〟カニの色には美味しさだけでなく身体に嬉しい効果もあるのですね。どうぞ色も吟味して選んでみてください!