自分次第で可能性が広がる梨栽培
「小さい頃から大好きだった梨を鳥取で作りたい」と話す、やぶやフルーツガーデンのオーナー田中克昌さんは、根っからの梨好き。出身は屋号(やぶや)にもなっている兵庫県養父市で、営業などいくつかの仕事を経験後、鳥取県で梨農家になりました。やぶやフルーツガーデンは、この地で梨を作っていた方が亡くなり、2014年に田中さんが引き継ぎ始めました。
梨農家の仕事は、想像以上に大変だったけれども、もともとアウトドア派で体を動かすことが好きな田中さんは、それほど苦にしていません。能動的に動けてストレスもなく、自分次第で可能性が広がるのが良いと思っています。
ここでは「二十世紀・幸水・新甘泉」の3種類の梨を栽培・販売しています。梨は赤梨と青梨の2種類に分けられますが、二十世紀は青梨で食感が固めでさっぱりとしています。一方、赤梨の幸水や新甘泉は食感が柔らかめで、甘みが強いのが特徴です。「大ぶりで甘くておいしい梨が収穫できたときの喜びは、何物にも代えがたい」と話す田中さんの言葉からも、大好きな梨を作れることの喜びが伝わってきます。
「二十世紀・幸水・新甘泉」に太陽と愛情もたっぷり注いで
やぶやフルーツガーデンの栽培の大きな特徴は2つあります。除草剤をまかずに草を刈ってその草を肥料にすることと、通常カラスや風の被害から守るための網かけ=ネットを張る作業を行わないこと。できるだけ薬を使わずに自然に近い形で、太陽の光をいっぱい浴びた、安全でおいしい梨を育てたい。その分作業は大変になりますが、全ては甘くておいしい梨作りのために行っています。今後は、通常は行う梨の袋かけもやらずに無袋のまま育てられるように、新しい栽培を考えているそうです。
「梨も生き物。常に手をかけてあげることを大切にしています」と田中さん。何の用がないときでもなるべく果樹園に足を運び、梨の木の状態を見て回っているそうです。このお話からも梨への深い愛情が感じられますね。
近隣の農家との付き合いも楽しみの一つ
梨農家を始める前に研修先としてお世話になったのは、秋栄(あきばえ)という品種の梨をハウス栽培している農家でした。そこで初めて「秋栄」を食べたときの感動が今でも忘れられず、今後の新しい展開のために、秋栄も作っていくことに決めました。さらには、近隣の農家さんに教わりながらブドウや桃、柿などの栽培にもチャレンジしていくつもりです。
「近隣の農家との付き合いも楽しみの一つ」と話す田中さんは、近隣の農家と助け合いや情報交換をしながら、もっともっとおいしさを極めていきたいと意気込んでいます。自然に近い農法を目指す田中さんの挑戦は、これからも続いていきます。